前年度覇者カジノフォンテンの最大瞬間風速は凄いものでしたが、今やその勢いはなくここで盛り返してくるであろう要素も見当たらず魅力に欠けます。
ざっくり計算してヒヤシンスは35秒後半~36秒前半、フェブラリーは33秒台まで突入してこれる馬場と推測できる。
— Nearco (@NearcoTesio) 2022年2月20日
フェブラリーS当日のダート戦は平均時計から軒並み1.5秒ほど早い決着となっておりウルトラ高速馬場でのレースとなっていました。ラップ推移としては中弛みでレース全体としてはまだ余力があるなかでのゴール≒もっと時計と詰めて走れた可能性があります。
ここで恩恵を受けたのは、テイエムサウスダン、ソダシの2頭です。2頭とも共通する性能は「全体的なスピードが武器」ということで、前者は距離短縮指向のスピードを、後者は芝指向のスピードを活かしやすいウルトラ高速馬場だったことが好走要因の大部分を占めます。
一方で後方待機の時点で「終了」だったのがエアスピネル、インティ、サンライズノヴァ。高速決着×上がり勝負となった時点で物理的に届かない位置取りが厳しい着順に直結したことは言うまでもありません。ポジションが大事なかしわ記念を考えると、インティやサンライズノヴァはマイルで行けなくなってきていますし、エアスピネルも加齢の影響から前ほど行けなくなっているので外枠から先行でポジションを取るのは厳しいと考えます。
馬券圏内に僅か届かなかったのがソリストサンダー。海外帰りはあまり積極的に買えないケースが多いので、一旦「状態」に関しては度外視して能力・適性に絞って愚論を進めます。「末脚の総合力に優れる1700巧者」がこの馬の特徴です。距離短縮指向のスピード不足によって高速決着への対応が叶わなかったこと、末脚力>先行力という能力バランスから展開を味方につけきれなかったこと、この2点がフェブラリーSでの敗因です。武蔵野S勝ちがありますが、ワンターンマイルよりは周回マイルの方がG1レベルでは合いそうです。時計が遅くなることや道中溜めが作りやすい≒1700巧者としての能力を活かしやすいことがその要因だと考えます。状態に問題がなければ末脚はしっかり伸ばしてこれそうです。
仮にカフェファラオがかしわ記念に出走していれば本命に推せないように、フェブラリーSのパフォーマンスをかしわ記念でも発揮できるとは考えないでしょう。かしわ記念に出走するフェブラリーS組も同様に、着順に惑わされることなく適性を見極めて狙っていきたいと思います。
■結論
本命は、◎ショウナンナデシコ。
マイル初挑戦となったのは東京ダ1600の青竜S。
早い上がりを使った馬が上位に浮上するなか4角3番手から抜け出す場面を作って0.2秒差4着。勝ち馬デュードヴァンは次走ユニコーンSでカフェファラオに完敗しますが、例年の勝ち馬と遜色のないパフォーマンスを示すだけの馬でした。負けはしましたが悲観する内容ではありませんでした。再度のマイル戦となる西湖特別では大幅馬体減の影響もあってか惨敗。その後、輸送を嫌ってか関東への参戦はしばらくありませんでした。阪神や中京ではマイル戦はなく、短距離適性もないと考えた陣営は中距離戦を主戦場として鍛えていき遂にオープン勝ち。満を持しての関東遠征で、TCK女王盃2着・エンプレス杯1着・マリーンC1着と輸送も克服してみせています。
マリーンCは船橋1600mでかしわ記念と同じ舞台です。ショウナンナデシコの前走タイムは1:41.3。例年のかしわ記念で勝ち負けするならば2~3秒ほど詰めてこなければなりません。しかしそこは少々事情が違い、22年3月開催から砂厚が10→12cmへ増しており、時計も掛かっているため、22年マリーンCの時計をこれまでのものと単純比較することはご法度だと考えます。
「ノーザンテースト産駒は3度変わる」というのは古くからの競馬ファンなら耳にしたことがある格言です。現代ではステイゴールド系の成長力を疑うことがないように、当時のノーザンテースト産駒はそれだけ古馬での成長力に長けているということです。ショウナンナデシコはステゴ系筆頭種牡馬のオルフェーヴル産駒で、ノーザンテーストの5×4×4も持ちます。血統的には「成長力の塊」「のびしろだらけ」ということが感じ取れます。実際に新馬戦で素晴らしい走りをするも、ジワジワと戦績を上げてくる雰囲気はステゴ系のそれで、5歳春を迎えいよいよ本格化、そして完熟の秋を迎えるであろう未来を予測できます。
・マイル指向のスピード性能は青竜Sで確認済み
・中距離馬という先入観は関西圏を主戦場としたから
・関東輸送も克服済み
・失速耐性勝負や揉まれる競馬など厳しいレースも経験済み
・マリーンCの時計は砂厚変更のため比較対象にならず