【日本ダービー2022】

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皐月賞上位の優勢は揺るがない。

 

別路線組の筆頭レースとなるのが青葉賞京都新聞杯。前者からはプラダリア・ロードレゼルが出走。レースレベルが平凡かつ中3週で再輸送という状況に加え、2頭とも追走力や失速耐性が優位なぶん末脚のキレでは劣るような能力バランスです。

後者からはアスクワイルドモアが出走。超高速馬場でも立派なレコードタイムでしたが、漁夫の利的なレース。自身は札幌2歳Sでも同様のレース展開を繰り広げており、失速耐性が問われる非根幹距離向きのタイプ≒根幹距離でキレ負けしやすい能力バランスです。

このようなことから日本ダービーで購買欲をそそられる存在は、別路線組に存在しないと判断しました。

 

次に日本ダービー激走馬について。激走条件については昨年の「日本ダービー激走考察編」を参考にしていただくとして、粘走激走候補はビーアストニッシド・ピースオブエイト・アスクビクターモア、一閃激走候補はジャスティンロック・マテンロウレオとなります。

 

・ビーアストニッシド

アメリカンペイトリオット産駒らしく淡々と流れたスプリングS[36.7-36.4-35.3]がそうだったように、緩急の少ないかつトップスピードの問われないレースが好走域。高速決着への対応力やキレの成長力が鈍い血統構成から皐月賞からの上積みを見込むのは困難。先行率86%・上がり平均35.0秒・スプリングS勝利・馬番8番と激走条件には合致していますが、上がり最速での勝利がないことや自身の能力バランスを考えると、過去の粘走激走馬らと違いキレ不足から苦戦すると考えます。

 

・ピースオブエイト

毎日杯は序盤早く仕掛け待つ展開&前有利馬場。素質馬ドゥラドーレスがやっとこさ差し込むのが精一杯のレースだったことからもトラックバイアスの程度が知れると思います。父スクリーンヒーロー×母父Oasis Dream×母母父Sadler's Wellsという血統からも推測できるようにタフ指向の競馬が得意なはずです。ただし近年の日本ダービーはRobertoやSadler's Wellsが減点材料となる傾向にあります。粘走激走条件は揃っていますがRoberto系の父スクリーンヒーロー産駒で母系は英国指向の強い血統では強気になれません。

 

・アスクビクターモア

母系の欧州色の強さが中山向きのディープインパクト産駒に仕立て上げる。今春開催の東京芝オープンクラスでは「キングカメハメハ」がかなり効いているように、欧州色の強さが仇となりそう。戦績通り東京向きのキレもなく先行策なら粘り込むにも早々に飲みこまれてしまうのでは。

 

ジャスティンロック

皐月賞上がり3位。牝系尊重型種牡馬リオンディーズ。母父アッミラーレはサンデー産駒ながら全勝ち星をダートで挙げた馬。祖母はホクトベガの半妹。牝系の持続力が引き出されたレースぶりで、京都2歳Sを捲りながら押し切った内容はまさにそれ。皐月賞は内を通ったとはいえ牝系の能力が引き出されているのならば、荒れた馬場はお手のものだったはず。キレの要求度がグンと増す東京替わりでは皐月賞で魅せた末脚を発揮できないと判断します。

 

マテンロウレオ

皐月賞上がり2位。溜めに溜めた皐月賞。米国色の強い牝系にハーツクライを迎えた血統構成からも察する通り、ワンペース気味の末脚を使います。急加速力不足の影響から末脚勝負に出ても位置取りの不利を大きく被りそうです。

 

このように例年なら狙ってみたくなる激走馬もいましたが、どうにも目をつぶる要素が多いように感じるため購買欲が湧きません。よって別路線組、激走候補ともに好走可能性が薄いと判断します。

 

 

■結論

 

本命は、ジオグリフ

 

皐月賞時の分析通り、牝系が持つ小回り巧者の血を受け継ぐジオグリフが立ち回りの巧さと持続力の優位性を活かすレースが得意です。そうであるならば、小回り適性やキレ要求度上昇となる東京替わりは減点材料とも言えますが、そうではない理由を騎手心理に求めます。「皐月賞を受けて上位馬はどのように日本ダービーを乗るか」をレース後から考えてきました。抜け出して差されたルメール騎手や、前々で窮屈に運んで伸び悩んだ川田騎手は溜めて末脚を最大限に引き出す&勝利に拘る騎乗をしてくるでしょう。武豊騎手も同様にスタミナ温存を念頭に溜めて末脚勝負でしょう。

 

そこで活きてくるのがジオグリフの持続力。末脚のキレ勝負ではイクイノックスやダノンベルーガにはさすがに敵いませんが、だからこそのポジションを福永騎手はとってくるはずです。これは前後のアドバンテージとなり、キレ不足を補完する材料となります。そのジオグリフも東京新馬戦で33秒台の末脚を披露したり、共同通信杯では57kgでダノンベルーガとほぼ同等にやりあっているように一定水準のキレは装備しています。今春の東京芝オープンクラスでは「父キングカメハメハ・母父キングカメハメハ」が数多く好走している血統傾向もあります。皐月賞を4角3番手から勝ち切った母父キングカメハメハのジオグリフを2022年日本ダービー本命とします。