【JBC2022】

■OROカップ

今回のOROカップで大注目されるのが「賞金3000万円」であること。中央でもリステッド~GⅢ程度の高額賞金。これに集った出走馬はすべてが元JRA所属。されとて地方馬としてこの賞金は喉から手が出るほど欲しいもの。バチバチの競馬が観られると馬券度外視でもワクワクするレースとなりそうです。

 

・トーセンスーリヤ

中距離で先行力を武器にキレずもバテない持続力が武器。昨年の函館記念は1:58.7で勝利。これはニッポーテイオーサッカーボーイトウケイヘイローマイネルスターリーらに次いで歴代5位のタイム。洋芝&小回りと先行力主体のバテない脚が合致することを示しています。20年新潟大賞典や21年新潟記念でも好走歴はありますが、いわゆる高速馬場とは程遠く、降雨の影響や荒れた路盤という状況でのレースでした。トップハンデで見せ場ありの中山金杯を最後に地方転厩となりましたが、ここの3000万円を狙ってのものだったのではと思いたくもなります。ジワジワと成長を遂げてきた馬ですからローカル重賞を賑わせていた頃から一年で途端に能力衰えるという懸念も解消できそうです。岩手リーディングを独走する山本聡哉騎手を鞍上に拝してきたことも万全を期してきたなと陣営の期待がうかがえます。

 

・ウインイクシード

中距離で全体的なスピードを活かしなだれ込む競馬がセオリー。ハイペースでもそれなりに上がりをまとめる能力を感じさせる走り。中央重賞では最後に末脚のある馬に敗戦するシーンが多々見られましたが、盛岡芝1700mならば末脚のキレ味が活きるシーンはまず見られないのでコース相性は最上位と考えられます。この馬もOROカップの3000万を狙って地方転厩してきた1頭では。

 

・マウントゴールド

前走いしがきマイラーズ(盛岡芝1600)は転厩初戦で+20kgと9歳にして最高体重での出走。道中インの5番手を追走も直線外に持ち出すロス。盛岡の芝でこのロスは致命的。そこから盛岡芝に強さを魅せるソロフレーズを写真判定に持ち込むのは能力の証。鞍上は岩手リーディング2位で先週8勝と絶好調の村上忍騎手。今回は直線クリアに迎えられそうな枠順で絞れれば好走圏はあってもいい。

 

・ソロフレーズ

盛岡芝に適性あり。勝負所で踏んでいけるのは強み≒4角鋭角のため3角からの追撃力がモノを言いやすい。今回懸念されるのはその追撃力を活かせない可能性のある内枠。先行力のある強敵が相手となる今回、追撃のために踏むタイミングやスペースを失う可能性があります。スムーズだった前走もマウントゴールドに迫られていることを考慮しておきたいです。3000万はともかく3着でも600万、4着だと300万を考えると着狙いで賞金獲得という策もありかと。

 

・アトミックフォース

中央時代の勝利は4勝すべて2000m。そのスタミナを武器に前走せきれい賞(盛岡芝2400)はレコード勝利。今回の焦点は距離短縮。中央オープン昇級後の成績をみると2000mでの大敗が目立ちます。これは中距離指向の末脚不足≒急加速力やトップスピードで優位な相手に抵抗するだけスピードの持続力が不足していたためです。そして意外にも1600~1800での成績は比較的良好。これは末脚のキレが削がれる条件で先行力を武器になだれ込むことが可能だったからでしょう。盛岡芝1700mはこの条件に合致しやすく、有力馬を内に閉じ込めやすい枠順からも一発魅せていいはず。

 

◎トーセンスーリヤ

◯ウインイクシード

▲アトミックフォース

☆マウントゴールド

△ソロフレーズ

 

JBCレディスクラシック

・ショウナンナデシコ

パワー指向のダート牝馬オルフェーヴル産駒&ノーザンテースト5×4×4≒成長力の塊のような血統。前走は捲ってきた馬にペース乱される&直線行き場なく伸びない内&前哨仕上げ(?)が影響しての失速。スパーキングレディースCのようにサルサディオーネの外で4角を迎えたい。序盤をどう捌くかが4角のスムーズさに影響≒結果に直結するはず。能力は問題なく最上位。展開のアヤに打ち勝てるかどうか。

 

ダッシュ力の差と枠順並びからサルサディオーネがハナを譲らない。サルサディオーネは中盤の緩急が少ないペースを生み出しやすい逃げ馬。今回は徹底先行を宣言のテリオスベルが絡んでくる模様。そこまでのダッシュ力&追走力はなく行っても番手で収まりそうですが。

 

・内枠先行勢強いパターン (ショウナンナデシコサルサディオーネテリオスベル)

・漁夫の利パターン (グランブリッジ、プリティーチャンス)

どの展開を選択し馬券として表現すべきか当日まで悩んでみます。

 

 

JBCスプリント

・レッドルゼル

短距離戦において末脚のキレが武器。フェブラリーSでの凡走は短距離指向の追走力を活かせずマイル指向の末脚不足(滞空時間不足)も露呈するため。20年カペラSでも鋭伸しているように短い直線でも安定して走る末脚は魅力的です。ただし、58kgを背負ったジャスティン・昇級初戦&重賞初挑戦のダンシングプリンスらと肉薄するに留まったという見方もできます。

今回懸念されるのは1枠1番。昨年のJBCスプリントでは最内を掬っての勝利でしたが「1400m&4角かなり窮屈で馬群バラける」ことが直線の短さやインを突く不利を軽減させていました。国内短距離ダートの有力馬がほとんど揃った≒「先行勢が強力&4角外を回す可能性が増大」となります。最後の直線が約400mあるドバイゴールデンシャヒーンで2年連続2着となったことからも、約300mの直線しかない盛岡ダ1200mでは前後内外の不利を覚悟する必要がありそうです。

 

・ダンシングプリンス

ダッシュ力と失速耐性に秀でた快速馬。福島ダ1150mでレコードを記録、21年カペラS(32.9→36.7)では超ハイペースを追走して抜け出すというパフォーマンスが印象的。前走は事故。懸念されるのは大和Sのような緩い流れでは先行力と失速耐性の優位性を活かせないこと。今回はスタートを決める&三浦騎手の覚悟があれば高速決着傾向の盛岡ダ1200では敵なしの状況だと考えます。ぜひ強気の競馬を。

 

リュウノユキナ

先行力と末脚のバランスの良さを武器に1200mでは安定。

 

テイエムサウスダン

パワー型の天才的1400巧者。米国色の強い血統や成績からも全体的なスピードが活かしやすい高速決着の方が高いパフォーマンスを示す。1200mではややトップスピード不足でオーバーペース(巡航速度不足)になる可能性が懸念されます。すばるSの挙動からも外枠は◎で包まれる不安もなくマイペースで気分良く走れそうなのは好感。立ち回りの幅が増えていることでどこまで立ち向かえるか。

 

ヘリオス

ここまでの最高パフォーマンスは「高速馬場をやや緩い逃げ」となった21年霜月Sや前走南部杯。周回コースの交流重賞では全体的スピードを活かせず敗戦も打点の高さが求められる高速決着で浮上することは南部杯での激走で示したとおり。南部杯で賞金加算がなければJBCスプリントへの出走は叶わなかったはずで前走仕上げ念入り。上積みがどれだけあるか&1200m指向のトップスピード不足に加え、高速決着の盛岡ダ1200&ダンシングプリンスの存在を考えるとさらに「やや緩い逃げ」を再現するのは難しそうでさらに条件好転とはいえません。

 

◎ダンシングプリンス

▲レッドルゼル

リュウノユキナ

テイエムサウスダン

 

 

JBCクラシック

・オーヴェルニュ

高速巡航と失速耐性に秀でる中距離馬≒起伏の激しさと道悪が重なる中京道悪では3戦3勝。盛岡ダ2000mは中京コースと似た起伏関係(≒ゴール板~3角まで緩い登坂→4角まで下り坂→直線に坂)なので適性はあると考えます。表面的には日本血統が並びなすが全体的には欧州色の強い血統です。これは芝指向の末脚に劣る可能性を示唆しますが、マーキュリーCの傾向からも盛岡ダ2000では欧州血統は強みになる可能性が高いです。前走はトップハンデ58kgを背負う&早い上がりを使った馬が上位に浮上する展開で3着に好走と良馬場での走りにも成長を感じさせます。揉まれないことも好走条件のひとつで外枠も◎。帝王賞では2年連続凡走も21年チャンピオンズCでは3着から0.3差6着と善戦。G1での好走能力がないわけではなく、ひとつ歯車が噛み合えばというだけのハナシ。今回は好走条件にあると判断します。

 

・テーオーケインズ

先行力と末脚を高いレベルで兼備。シニスターミニスターは母父の芝指向を引き出す傾向≒母父マンカフェで芝指向の末脚を想像可能。帝王賞や中央道悪馬場での走りから高速決着向。先行激化など事故への免疫は薄いが順当に評価。

 

・メイショウハリオ

半弟や叔父が芝長距離で活躍。父パイロでダート馬に出るがパイロ産駒らしくない距離適性と成長力。馬群を割れる根性や芝指向を感じる末脚は魅力的。帝王賞は漁夫の利的勝利も能力は確か。帝王賞はスワーヴアラミスが捲るシーンでメイショウハリオをなだめた濱中騎手のファインプレー。近走では末脚一辺倒ではなくある程度ポジションをとって競馬できるように成長。

 

・ペイシャエス

エスポワールシチーの代表産駒へ。追走力と失速耐性に良さが見られます。特に秀逸だったのは馬場差を考えれば伏竜Sを上回る時計をマークした5走前の走り。また青竜Sを展開不利で善戦→さらにハイペースとなったユニコーンS快勝と一戦毎に成長していることも魅力的な要素のひとつです。武蔵野S・みやこSの選択肢もありながらこちらを選択したのは斤量の関係か。3歳で古馬一線級相手は辛い状況に変わりないが今後の成長をぜひ見守っていきたい1頭。

 

・クラウンプライド

先行力と末脚のバランスに良さがありそう。リーチザクラウン×キングカメハメハ×アグネスタキオンと日本血統が並ぶがさらにそこからホワイトマズル×トニービンがボトムで支える。未知数が大きい3歳ですが、UAEダービー勝利の先輩ラニは3歳で迎えたみやこS13着、チャンピオンズC6着と凡走。それだけ3歳馬が古馬と詰めなければならない差があるのも事実。クラウンプライドがアドマイヤドンやオメガパフューム級なのかどうか。

 

◎テーオーケインズ

◯オーヴェルニュ

▲メイショウハリオ