Nearco Memo 【回顧 ~第4週~】

■1/25 中山6R

―—クレーキング

距離延長で末脚鈍る懸念を抱いていましたが、完全に見誤っていました。中山良馬場で1:52.9という素晴らしいタイムを叩き出してきました。ルクソールカフェと同様に古馬3勝Cレベルの時計を叩き出してきたと考えて間違いありません。これまでもクラスが上がりながら水準級の時計で走ってきていました。この1400・1600での走りが追走力や失速耐性が鍛えられてきたがことが、ここで打点をカチ上げてこられた理由だと考えます。粒々と期待馬がいる世代ではありますが、この馬も間違いなくその1頭に名乗りを挙げました。


■1/25 中山10R 初霞賞

―—アピーリングルック

距離延長の緩い展開でも折り合いピタリ。番手から抜け出すだけの競馬。時計は平凡もまだ底見せず。昇級でも勝負可能。

―—ホウキボシ

直線の不利がすべて。2着は確保できたはずで引き続き上位候補。

―—アラレタバシル

前半ゆっくり入ることで末脚余力の優位性が高まるタイプ。今回は序盤からポジションを取る競馬。末脚特化型でありながら現級で頭抜けたトップスピードがあるわけではないので、いずも展開待ち。今回のような能動的な競馬は得策ではなかったように思えます。次回以降に向けた競馬という点ではプラスに出るかも。ある程度追走力を鍛えていく意図があったのならば理解もできます。時計の掛かる中山は最適鞍であるはず。

 

■1/25 中京9R 若駒S

―—ミッキーゴールド

2角過ぎで押し上げる奇行。直線でもしぶとく伸びて2着確保。キレ不足が懸念されますが、それを補完できる条件ならば。

 

■1/25 小倉11R 小倉牝馬S

―—コスタボニータ

本命。これだけのハイペースを5番手追走。直線もバテバテながら、この展開を追いかけた側ではよく踏みとどまっている結果。6歳ながらまだ能力があるところを魅せたと思われます。”噛み合えば”という条件付きにはなりますが牝馬重賞で再度馬券になる日があるはずです。

 

 

【Nearco Memo】 ~第3週回顧~

■1/18 中京4R

勝ち時計1:53.0は馬場差考慮で古馬2勝C水準をやや上回るもの。5F通過で1.6秒遅かった同日9R(古馬2勝C)と決着時計だけ比較するのはナンセンス。同日2R(3歳未勝利)も1:53.0で、古馬2勝Cを示す良好な時計。これを手放しで喜べないのは、この時期の番組の少なさからダートの世代上位勢はこのぐらいの時計を示すことはままあるということ。過剰評価を避けつつも、古馬2勝Cのレベルを示したという点は認めておくという具合に留めたい。

――ベルベルコンパス

新馬戦はナチュラルライズに完敗も、3着以下を大差にちぎる2着。自身の時計も新馬戦としては破格のタイムを示していた。前走は初の重馬場&1角までに不利を受けた。それでも次走勝ち上がるドンインザムードに先着とチカラを示す。今回良馬場で巻き返した。ここを読み切れなかったのが私の予想力の弱さだった。

―—ロードラビリンス

当レース本命。もちの木賞は価値ある2着。前走はナルカミの抵抗で猛烈ハイペース。前後不利で失速しただけなのにやや見放された人気に落ち着く。ここはチャンス。今回は早い馬もおらず、前回競ってきた坂井瑠星もコントロールタイプの馬に騎乗。前走の不利は一挙に排除できる算段が高く、巻き返す要素十分。レースでは番手から抜け出して見せ場あり。もちの木賞、今回と時計的価値も併せての好走があるため信頼度は高い。順番はすぐに回ってくるでしょう。懸念があるとすれば使い詰めていってどうなるかということ。

―—マテンロウブレイブ

今回は言い訳の余地なく完敗ですが、中京砂御法度に触れる騎乗≒後方から4角大外ぶん回しで直線もしぶとく伸びていたので悲観する必要はないと考えます。追走力不足は今後も課題となりますが、末脚はそこそこ魅力的ですので好走可能性がないわけではありません。次走がどこで、人気がどうなるか分かりませんが人気薄でも警戒が必要です。

 

■1/18 中山11R カーバンクルS

―—エイシンフェンサー

今回3番人気のカンティーユとは2走前・斤量差2kgで0.1差に迫った。こちらは11番人気で斤量差は4kgに広がる。過去にも軽ハンデで積極的な競馬をしてきたエイシンフェンサー&川又騎手がお見事の勝利。評価では優先順位の関係から3連複の相手までとましたが、波乱の馬券を届けてくれてありがたく思います。

―—バースクライ

キング騎手らしくそつない競馬。めいっぱいの競馬をして2着ですから運がなかったとしか。ハンデ54kgは恵まれた印象ですが、オープン特別では力量上位です。今後の走りにも注目しましょう。

―—ミッキーハーモニー

当レース本命。末脚特化型。毎回良い脚で追い込むも、脚質的宿命から前後内外かつ僅かな不利で敗戦。今回、待望の軽ハンデ。末脚のキレに磨きがかかるうえにダッシュ力でのエネルギー消費も軽減できる算段。内々を捌いてきたのは大野騎手の手腕そのもの。僅かに届かなかったこれまでを払拭するように、僅かに届いた今回。良い競馬でした。今後も脚質の不利を覚悟して狙える状況であれば。できれば幾つか敗戦を続けてその時が巡ってくればと思いますね。

 

■1/19 中京9R 西尾特別

これは教訓的レースが誕生。1番人気フレミングフープの危うさを示唆しておきながら、突き抜ける可能があるならと対抗評価に留めたのが運の尽き。重賞好走馬が条件戦に戻ってきたわけでもなく、ハイレベルなレースを経験してきた馬が相手弱化したレースに降りてきたわけでもないのに、フレミングフープの御在所特別を過大評価したのが痛恨。超高速馬場と今の時計が掛かる&キレ優位性失う馬場の中京では要求されるものが別物だということを理解しておきながら。これが人気薄ならば強気に狙っていいはずですが、1番人気という存在ではまさに期待値がないわけで。

馬券構築のハナシに移ると。予算は1万。結局ミッキーツインクルとフレミングフープのワイド1点突破で”2倍になればいいや”という感覚。フレミングフープの危うさが脳みそにあった時は、ミッキーツインクル→②⑥⑦⑪の頭固定3連単12点各500円も想定。結局負けるわけだが、仮に危うさを受け止めてこちらの馬券を購入していても80倍×500円で4万超の払い戻し。純利で3万超。種銭加算としてはありがたいが、驚くほど嬉しいわけでもない払い戻し。これはいい勉強代になったということでいいんではないだろうか。

適性を上回る能力なのかどうかしっかりと精査する。人気馬なら尚更。これを教訓として再確認するレースとなったのならば、本命突き抜けて馬券散った意味がのちのち見出せるはず。

―—ミッキーツインクル

3歳春時点で古馬3勝C掲示板レベルにはあった馬。調教もレースも落ち着いた競馬を教えながらという点ではまだ5歳らしからぬ状況。荒れた馬場を苦にせずズドンと突き抜けた今回の走りは素晴らしかった。昇級しても通用します。

【Nearco Memo】 ~第2週回顧録~

■1/11 中山9R 黒竹賞

12.6-11.4-12.2-13.0-12.4-12.5-12.6-12.7-13.4 1:52.8 黒竹賞

12.3-11.7-13.5-13.3-11.8-12.1-12.2-12.5-13.2 1:52.6 招福S (前週古馬3勝C)

良馬場だった招福Sに対し、稍重の黒竹賞だった。0.2秒タイムで劣るも、単純計算で3歳1月の馬がが古馬3勝Cに肉薄するだけで高水準であることは推し測れる。それも招福Sは水準級であり低レベルだったわけではない。黒竹賞は稍重ではあったが凍結防止剤が散布されたことが影響したか時計の出方は良馬場の水準級であったと推測できます。

 

―—ルクソールカフェ

兄カフェファラオよりやや馬体重を持って生まれたのがルクソールカフェ。この馬も東京ダ1600の2歳レコードを叩き出したのちに、適性の方向が真逆となる中山ダ1800でも圧巻のパフォーマンスを魅せました。この世代のダート界は有望株が次々と生まれていますが、この馬も世代筆頭に名乗りを挙げたといって間違いありません。母系が芝指向であり、全兄カフェファラオという背景からもワンターンマイルでスピードを叩き込む競馬が得意そう。中距離では馬体重の大きさが器用さに影響、時計の掛かる馬場ではスピードが削がれるなど先々のG1レベルでの不安はありそうですが、現時点では総合力の高さと得意舞台での頭抜けたパフォーマンスに期待を寄せておきましょう。

―—ベリタバグス

相手が悪かっただけです。先行力と失速耐性を主体に器用さを活かした競馬の巧さが魅力。ベリタバグス自身も3歳1勝C水準を上回っていますので次走に期待しましょう。末脚にスピードを叩き込むよりは、全体的スピードを活かす方が良い感じ。東京1600では慎重に判断したいです。

―—シャイニーシップ

前走捲って直線ガス欠。その反省を活かして終いに賭けてワンテンポ遅れた仕掛け。馬場&ハイペースで多くの馬がガス欠するなか位置取りバッチリで最後に差し込む。時計は水準級だが、展開待ちなので再現性は低い。

―—オタマジャクシ

相手なり。次走も期待できます。

―—スナッピードレッサ

デビュー戦を東京1400で好時計勝ち。前走出遅れ&直線詰まる。凍結防止剤入りの中山ダ1800は適性外。距離短縮で再度仕切り直しすべきです。

―—チムニートップス

まだ幼い走り。+12kgでも太くは映らなかった。前半の追走に苦しさがあり、3角進出の仕掛けでガス欠。これまでの走りは魅力的なところがあるので今回の経験が次に活きれば。今回はチカラ負けですが見限れない存在です。

 

■1/11 中山11R 迎春S

36.2-25.1-23.8-24.0-23.9 2:13.0

典型的なロングスパート戦。時計レベルは水準からやや低い。

―—ホーエリート

非根幹距離で持続力を活かす競馬が得意。牝馬限定重賞では好走レースが限られてきそうです。少なくとも距離短縮指向の追走力は薄い。強気に牡馬と戦っていくことで成長を促せそう。大目標をエリザベス女王杯、夢を有馬記念と据えて成長していって欲しいです。

―—アドマイヤサジー

前走は昇級初戦で位置取り取れず、直線も進路なし。今回は勝ち馬の後ろについて馬群抜けてくる好騎乗。メジロ牝系にハービンジャーからスタミナ豊富な牝馬で距離延長でも問題ありません。むしろその方が追走の軽減から末脚のエネルギー増幅しそうです。

―—ホウオウムサシ

中山2500のハイペースで圧巻の走りだった前走。距離短縮では序盤緩くとも位置取れず末脚に賭けるしかなかった≒淡泊なパフォーマンスに留まる。最終的には中長距離で重賞レベルになれるはずの存在です。今回の走りで懲りたはずです。調教師は適鞍を選択し続け、ホウオウムサシに充実した競走生活を与えて欲しいものです。

―—ナイトインロンドン

末脚溜まっていたが僅かに届かず。直線行き場を失ったのが致命的だった。ホーエリートとアドマイヤサジーの間を狙うも津村騎手にしっかり締められて万事休す。現級上位の力量はあるのでもちろん巻き返し可能です。ただし好走条件がっているかどうかは毎回精査必要。

 

■1/11 中京11R すばるS

12.3-10.8-11.1-11.8-12.4-12.1-12.5 1:23.0

強硬ローテのフリームファクシが快勝。タイムレベルは水準よりやや低い程度。収穫は2走前コールドムーンSよりもダッシュ力の要求度上昇でも先行内目を追走し、キックバックにも怯まず抜け出してきたこと。ローテーションや酷斤量、タフさが増したレース質にもへこたれず好走していることは素晴らしい反面、失速耐性を主体としたタフさがフェブラリーSでは過剰になりそう。このあとは根岸Sのようですが、スプリント勢が参戦してくれば失速耐性の要求度が上がりそうで再現性はありそうです。

 

■1/12 中京2R

―—スマートブル

初戦マイペースで好走。2戦目S2F[12.03-10.41]でダッシュ力魅せるもさすがに序盤早すぎ失速。3戦目、休養明けで大幅増は成長分?。テンで出していくもそこから控えて後方競馬。上がり2位で末脚伸ばすも凡走。レース全体でチグハグなエネルギー消費が原因。先行激化しないなど条件つきではあるが次走スムーズなら巻き返す。

 

■1/12 中京8R

決め手ある馬少なく、先行惰性型が多数。

―—ニホンピロトッティ

調教抜群。外枠からすんなり先行惰性。極軽量の馬体重から懸念した斤量増は影響なかったもよう。前走、今回、水準級の時計で走れており現級上位の力量示す。依然として決めてがないので勝ち切るには恵まれた条件必要。

―—オコタンぺ

前走直線全く追えずも先行力に心境あり。今回中団からイン伸びる。イン突いた好騎乗はあるが展開向かないなかで伸びてきた脚力は認めるべき。

―—スターザサンライズ

中京ダで御法度の4角大外ぶん回し。騎手を責められるわけもなく、これしか策がなかったのが現状。直線は好走圏からは離れているものの末脚はしっかり使っている。条件さえ噛み合えばいつでも飛んでこれる。

 

■1/12 中山9R 初咲賞

―—ダイシンアポロン

長期休養明け。道中捲っていき11秒台中盤~後半を2連発。後方待機勢が浮上してきたようにレースをぶっ壊しながらも、自身の次につながる刺激を与えたかたち。坂登り切ったところでガス欠したものの、休養明けを考えれば問題ない程度の負けっぷり。山吹賞では今回勝ったディマイザキッドを完封しており、当時は青葉賞への期待も高まった馬。一叩きされた次走は期待。

―—アバンデル

勝負所で不利。めげずに直線再伸。現級上位。

―—キャントウェイト

前後不利。坂で脚鈍る傾向あり、平坦の中長距離で狙いたいが適鞍あるか。

 

■1/12 中京10R 新春S

23.7-22.6-23.8-24.3 1:34.4

ハイペースも、時計掛かりキレ優位の末脚を叩き込みづらい馬場。序盤の早さに対応できる追走力、ワンペースな末脚が要求される終盤での持続力が優位性を持ったレース。

―—ワールズエンド

昇級初戦をトップハンデで2着。現級通過点。

―—ムーンリットナイト

道中促されながらも直線ジリジリ伸びる。馬力要求する馬場も味方につけ好走。パンパンの良馬場などでは慎重な判断必要。

―—ミエスペランサ

キレ味活きる良馬場で。

―—トラマンダーレ

キレ味活きる良馬場で。

 

■1/12 中山11R フェアリーS

23.0-22.5-23.6-23.7 1:32.8

レコードを0.9秒更新。序盤・中盤ともに引き締まった流れ。

―—エリカエクスプレス

エピファネイアを彷彿とさせる追走力と爆発力の共存。レコード更新のようにタイムレベルは高いのですが、桜花賞となると適性にズレが生じる可能性あり。ノビのある末脚の要求度を下げるには自身で前々にプレッシャーをかけていく走りが理想的?

 

■1/13 中京3R

―—ルセルマンダム―ル

前走水準時計。順番巡ってきていい馬で1番人気は妥当。3角手前から強気の競馬がスパート余力を大きく削った模様。これは騎手の過信による凡走。翻せば横綱競馬で勝ち切れるほどの能力はなかったということでもある。アドマイヤマーズ産駒で100m延長も影響あったか。今回も水準程度では走れているので、しっかり乗れば巻き返し必至。

 

■1/13 中京4R

―—ムギトルナ

終始デビュー戦らしい競馬。能力の片鱗魅せる。発馬一息から流れに乗るまでピッチ上がらず。ムチ入り気合いつけられてからピッチ上がって追走に本腰。中京ダでは御法度の4角大外回して上がり最速計時も時すでに遅し。近親のデリカデス、レディバランタイン、メイラヴェルらは新馬戦勝利の仕上がり早い血統。今回のことでレースを覚えたのならば次走は勝利まで見えてくる。

 

■1/13 中京7R

―—ティムール

現級上位。近走もしぶとく末脚を伸ばしている。

―—エボルヴィング

直線前壁壁壁。それがすべて。容易に巻き返す。

―—ファミリータイム

展開不問の末脚が武器。どうにも位置取りありきの騎乗ぶり。溜めてこそ。直線長い中長距離戦で。

 

■1/13 中京11R シンザン記念

23.9-22.9-24.1-23.7 1:34.6

ハイ寄りのミドル。重めの芝でしぶとく脚を伸ばせる馬が浮上。

―—リラエンブレム

前走同様に末脚の急加速力やトップスピードは強調されず。欧州中長距離指向の牝系の影響が出ている模様。陣営が未熟という段階で新馬戦・重賞と連勝したポテンシャルの高さは素直に評価。重い芝がそこそこのトップスピードを持続できる末脚にマッチしたがゆえの快勝と推測。新春Sと比較して”古馬3勝Cと云々”を持ち出すのは非常にナンセンス。レースレベル自体は古馬1勝C程度。血統や馬体を鑑みるに距離延長で活躍を見出していくべき。マイル路線ならば急加速力やトップスピードに関しては突出した能力を示していない点は留意しておきたい。

【Nearco Memo】~第1週回顧録~

■1/5 中京7R

―—デルアヴァー

連闘。勝馬がインから優等生な競馬をしたミッキーゴールド。対してデルアヴァーは発馬で挟まれ後方から。一歩目出ないがゆえに挟まれるので今後も発馬は改善に取り組まなければならない。4角外回して直線も三浦皇成騎手がやや追いづらそうな仕草。脚質から今後も前後内外の不利は覚悟する必要あり。

能力の方向性として序盤の弱さから終盤に末脚を活かして浮上するしかないが、肝心の末脚がトップスピード不足から詰めが甘い面は終始付きまといそう。そこそこの末脚を持っていた祖母ヘヴンリーロマンスから、ダート長距離馬の母アムールブリエを経由して、Sadler's Wellsクロスが際立つよう欧米色強い配合。血統からも末脚のトップスピードや急加速力の成長は促しづらく、しぶとい末脚を終盤に叩き込む形が得意となりそう。長い直線が必須条件ではありそうですが、時計が掛かる芝やキレが削がれる条件下でパフォーマンスを上げていきそう。自己条件ならばセントポーリア賞かフリージア賞あたりで勝ち上がりたい。

 

■1/5 中山9R 招福S

―—ロジアデレード

絶好の競馬に思えたがノビ案外。前走が61.6秒を2番手で運んで1:53.1。今回が62.6秒を3番手で運んで1:53.3。自身のパフォーマンス自体は出し切ったともいえる。東京1600や福島1700でパフォーマンスを上げているあたり冬中山の良馬場ではややパワー不足なのかも。カシマエスパーダとハイレベル戦をやりあったのは春中山の重馬場。放牧休養に出たようですが、タフな冬中山は避けた方がよさそうなので充電して春先に狙いを定めた方が得策か。これまでのレースで随所に能力のあるところは魅せつけていますのでこのクラスでも十分に狙いが立ちます。全体的なスピードを活かしやすい舞台で狙いましょう。

 

―—テーオーパスワード

両前脚骨折による長期休養明け。調教好時計連発で仕上がり良好。レース自体はそこまで無理しなかった印象。伏竜Sからは想像もつかないケンタッキーダービーでパフォーマンス≒失速耐性を活かす競馬でこそ。序盤緩く、中盤→終盤と早くなっていくラップバランスでは能力を発揮しづらかった可能性もあり。なんにせよ、若駒の骨折明け初戦。無事に卸して次戦以降でというのは定石。

 

―—オンザライン

現級24戦2着5回、掲示板18回の安定株。今回も展開こそ向かなかったが上がり2位を計測して8着。前走接近したマンマリアーレ・ロジアデレードとも0.1差以内まで差し込んでいる。イン追走から経済コース通って追い込み2着したアスクビックスターとは違い、こちらは4角大外回していた。詰めの甘さは改善傾向にないが、上がりが掛かる馬場や展開なら善戦可能。展開待ちは否めないが、人気薄の激走には注意すべき存在。

 

―—グロッシェン

前走も前々走もキックバックを受けなくなってから伸びている。揉まれ弱いともいえるか。秀でた追走力があるわけでもなく、今後は外枠でスムーズに走れたらが好走条件。3勝クラスでキックバックを苦にするようでは今後が思いやられるがまだ若い馬。精神的な強さの成長に期待しましょう。

 

■1/6 中京4R

―—ナルカミ

初戦が衝撃的。G1級の走り。一転、発馬一息から序盤、中盤をかなり早いペースで運び失速。直線手前で息をいれるも時すでに遅し。ある程度のペースならば耐えて欲しいところでしたが、ロードラビリンスも同様に沈んでいるところをみるに相当キツイ展開だったことは察しがつきます。失速耐性はレース経験で鍛えられていくものという考えから、まだまだ未来ある若駒の今後を期待しておきましょう。

 

―—ロードラビリンス

逃げなければならない馬でもないが、ハナ奪いにいきながら内から張られては仕方ないか。前走は好タイムであり、この馬も簡単に沈むような馬ではないが大失速。次走の巻き返しに期待しましょう。

 

■1/6 中京10R 寿S

―—インザモーメント

追走力と末脚のバランスが良い馬。翻って器用貧乏。能力の丸みが詰めの甘さを誘発している模様。道悪でも2000mは少々短かった印象。勝馬が立ち回りから一瞬の脚とバテにくさを活かした反面、こちらは控えて外々回して末脚頼みの競馬。距離延長ならばもちろん狙っていい馬。

 

―—シェイクユアハート

コース・馬場不問の超堅実馬。えらい馬ですね。

 

―—メイショウゲキリン

京都中長距離で走ればまだまだ好走圏。

 

―—モズロックンロール

中1週で馬体減らす。これまで好走は516kg以上の時に集中。道中の不要な捲りもあったため末脚失う。馬体重に注意しつつ小回りや道悪などキレ優位馬がパフォーマンスを発揮できない条件で狙いたい。

 

【ジャパンダートクラシック】

サンライズジパング

中距離指向の豊富なスタミナを活かしたワンペース気味の先行馬。欧州血統にキズナを迎えた配合≒SS系のキレ味と欧州型の持続力が引き合う配合。血統全体では芝指向ですが500kg超の大型な馬体がSS系特有のキレを鈍らせている様子。これにより芝目線ではキレ・急加速力が不足し、ダート目線では失速耐性が不足するという能力バランス。芝重賞では額面の上がりの早さに苦戦することが必須で今後芝で好走するにはかなりゾーンが狭くなります。若駒には苦しいはずのホープフルSで不利がありながら3着は他馬と比べてスタミナがあることの裏付けで、このスタミナとワンペース気味の先行馬という質感はダートでこそ好走率が高くなります。

不来方賞は序盤緩く早い時計が出る盛岡道悪での決めて勝負となり、カシマエスパーダ(ホッコータルマエ×シニスターミニスター)やサトノフェニックス(ヘニーヒューズ×シンボリクリスエス)というダート指向の強い馬よりも芝指向のスピードに優位性を持つサンライズジパングに向いたレースでもありました。

ここでの懸念はダート指向の失速耐性不足になります。ここまで失速耐性が確認できていません。ダートでの好走は道悪のみで、そのレース質も緩い展開から余力を持って終いを伸ばすものに偏ります。これに加えて芝レースを好走してしまっていることも、失速耐性不足の懸念を強めています。時計の掛かる大井2000ではこれまでのパフォーマンスを発揮できないと推測します。

 

■カシマエスパーダ

ワンペース気味の先行力を発揮でパフォーマンス急上昇。ホッコータルマエ×シニスターミニスターで配合的にも馬格的にもゴリゴリのダート馬。血統全体には米国型SP系の血統が多い。これまでの最大パフォーマンスだった鳳雛Sでは古馬オープン特別レベルの時計を叩き出しており、早い流れを追いかけながら失速耐性を武器に終いも駆け抜ける方がパフォーマンスを引き上げやすい様子。不来方賞は芝指向のスピードに優位性を持つサンライズジパングにキレ負けしましたが、失速耐性の要求度が上がるレースならば差を詰めるもしくは逆転も可能では。

ここでの懸念は、砂入れ替えにより以前よりもタフな大井2000となると、中距離指向の豊富なスピードが邪魔になりそうです。自身の失速耐性を信じて序盤中盤を引き締めた走りにするとスパート余力自体が削がれそうですし、逆に緩めてスパート余力温存では不来方賞の二の舞にもなります。決めて勝負は避けたいが、地力勝負ではゴール前が苦しくなるという見立てです。メンバー的に逃げそうな存在ですが好走ゾーンは狭そう。仮に好走するならば、スタート後すぐに隊列が決まって1角からすでにペースが落ち着き、絶妙なラップを踏み続ければ残り目があるかどうかといった具合でしょうか。

 

■ミッキーファイト

全体的なスピードと失速耐性が武器。ゴール前だけでガツンと差した新馬戦から芝指向のスピード性能を、中山1800で62.0秒通過を3番手から上がり最速で突き抜けた2歳1勝Cから追走力と失速耐性を確認できます。この2戦はともに時計優秀。4カ月半の休養で迎えたユニコーンSは直線不利ありながら2着サトノエピックと0.3秒差。540kg前後の超大型馬で急加速力やギアチェンジ能力にが劣勢であろう能力バランスで勝負所の不利は見た目以上に痛手だったはずです。レパードSは負荷の軽い競馬で当レースでの評価は控えめになりますが、ミッキーファイト自身は2戦目で魅せた苦しいレースでも終盤しっかり動けるというのが強みのはずです。逆をいえば、自身の得意とする舞台ではない軽い質感のレースでも世代重賞ながらきっちり勝ち切ってみせたことを評価すべきです。ちなみに超大型であることから芝指向の急加速力が削がれている可能性が示唆されるため、半兄ジュンライトボルト(480kg前後の馬体重)とは違ったダート適性となりそうです。少なくともチャンピオンズCの適性は半兄の方が上。しかしながら、血統的に芝指向のスピードが邪魔しそうなものですが、超大型の馬体やタフさを強調しやすい厩舎傾向がダート指向の能力へうまく転換しているようです。

ここまで示した能力は例年のダート同世代では筆頭といえるものですが、生まれた時代が悪かったとしか言いようがありません。それだけ現時点で追走力や失速耐性など文句をつけたくなる要素が見当たりません。2強との比較では現時点で想像できる打点の高さと尖った能力不足という点で劣るという具合でしょうか。優等生の競馬でどこまで迫ることができるでしょうか。

 

■サトノエピック

全体的なスピードとキレないバテない末脚が武器。先行力と末脚をほどよく兼備しているため大型馬ながら立ち回りに困らなそうです。これは米国血統にキタサンブラックをぶつけたことによる芝ダでの能力の引き合いによるものと推測できます。

ここでの懸念はその能力バランスの丸さが世代トップレベルの争いでは武器になりづらいことです。うまく立ち回ったユニコーンSで0.4秒だったラムジェットとの差が、ガチンコでぶつかり合った東京ダービーでは1.2秒にまで広がりました。ほどよい位置からほどよく末脚伸ばしてという競馬ではほどよい結果しかあがりそうになく、ましてや世代トップレベルでの戦いともなると自身の持つ打点(≒最大パフォーマンス)を引き上げるためにも尖った能力で勝負する必要性が出てきます。ここまで示した打点から漁夫の利を得ても突き抜けるシーンは想像が難しく、2強に挑んで敗れた馬たちを交わしていくシーンならという状況と推測します。

 

■フォーエバーヤング

勝負根性と失速耐性を武器にした末脚が武器。血統全体では米国スピード血統が主張するものの、牝系の米国ダート適性(近親に24年ケンタッキーダービー2着Sierra Leone)、父母系の世界的名血ぶりと文句のつけようがない血統。リアルスティール産駒ながら520kg超の大型な馬格がSS系からくる芝指向のスピードを削ぎ落とし、ダートに向かわせている印象があります。これが中途半端な馬格だと芝とダートで要素を引き合うことにつながりかねません。

サウジダービーは日本換算で1分35秒程度で駆け抜けたことになります。ヒヤシンスSとの単純比較でワンターンマイルを1分35秒程度で駆け抜ける馬がどれだけいるでしょうか。府中の冬馬場と比べることは正しくないかもしれませんが、出遅れながらこれだけのパフォーマンスを繰り出せる打点はこの時点で古馬重賞レベルを叩き出していると評価できます。UAEダービーでは距離延長により追走がラクだったことから余力十分なスパートによりダートながら直線弾けました。ケンタッキーダービーも米国らしい前傾ラップのなか終盤にしっかり脚を伸ばしてハナハナ差の3着。マイルを高速で駆け抜けるスピード能力、中距離では追走がラクになりそのスピードを末脚に転嫁して叩き込める能力、さらには揉まれても怯まない勝負根性など能力的にG1を勝ち抜く資質を持ち合わせています。さらには経験値という点でも他馬を圧倒しています。最内枠で発馬の不安はまだありますが、挽回の利くコースでもあり人気通りの走りを魅せてくれるのでは。

 

ラムジェット

nearco-tesio.hatenablog.com

 

強烈な末脚が武器。ヒヤシンスS次点で古馬オープン級の時計を叩き出していることから、フォーエバーヤング(同時期のサウジダービーで古馬重賞級示す)とやり合える可能性を持つ唯一の馬。ちなみにヒヤシンスSで追走でやっとこさだったラムジェットですら前傾ラップを刻んでいます。マイル戦での高速決着という経験値はフォーエバーヤングと同等。私はそのヒヤシンスSでのパフォーマンスから25年フェブラリーS本命を宣言したわけですが、ラヴェリータ×ゴールドアリュール×マジェスティックウォリアーという血統や追走がラクになる性能からは中距離でこその可能性も感じさせます。おそらく脚質からマイルでは前後内外不利の覚悟が必要になりますが、中距離戦ではそのリスクを軽減させることができます。

スタート後は武器であるワンペース気味の強烈な末脚を活かすためにも序盤は「如何に外を確保するか」がカギになります。急かしたところで前に行けるわけではありませんし、急かして前に行っては自身の良さを引き出す終盤での余力を失ってしまいます。ここは三浦騎手の手腕の魅せどころでもあります。

 

ラムジェット

 

【日本ダービー2024】

■激走馬考察編

日本ダービーを人気薄で好走する激走馬の共通点を炙り出し、それを先行粘走力に求めたいわゆるNerco理論。残念ながらNerco理論はすでに破綻しており、昨年ピックアップしたベラジオオペラ(本命)が馬券外。9番人気ながら4着という言葉だけを捉えればよくやったといえるかもしれませんが、馬券師として勝負している以上「惜しい」は死そのものでいわゆるNerco理論の信憑性は地に落ちたといえます。

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Nerco理論の詳細は上記を拝読願うとして、今年の日本ダービーで先行率50%以上を保持するのは以下のメンバーとなります。

100% 34.3秒 ダノンエアズロック (上がり最速勝利)

100% 34.2秒 シックスペンス (上がり最速勝利&スプリングS1着)

100% 33.6秒 ジャスティンミラノ (皐月賞1着)

 75% 34.4秒 シュガークン (上がり最速勝利&阪神2000[未勝利])

 67% 35.5秒 メイショウタバル (上がり最速勝利&阪神2000[未勝利])

 67% 35.1秒 サンライズアース (すみれS1着)

 60% 34.9秒 シンエンペラー (ホープフルS2着)

 60% 34.4秒 エコロヴァルツ (上がり最速勝利)

 60% 34.3秒 ショウナンラプンタ (上がり最速勝利&阪神2000[新馬])

 56% 34.5秒 ジューンテイク (上がり最速勝利&すみれS2着)

 50% 34.6秒 ダノンデサイル (京成杯1着)

 50% 35.7秒 サンライズジパング (上がり最速勝利)

 50% 34.0秒 レガレイラ (上がり最速勝利&ホープフルS1着)

 

・上がり3F:35.1秒

・先行率:86%

上がり最速勝利あり

急坂コース連対あり(オープンクラスなら尚良い)

内~中枠

 

―—ジューンテイク

先行力とワンペース気味の末脚を主張。サンデーサイレンス 3x3Lyphard 5x4のクロスを持ちますが全体的には日欧米が配置される血統で末脚のキレやその成長はそこそこ止まり。こうやまき特別や京都新聞杯は緩急の大きな展開を先行策から上がり最速での勝利。先行率56%は低いですが、今回のダービー出走馬で最短距離の1400m勝ちのある馬。先行するのはワケないはずです。過去の好走条件に照らすと、上がり数値で近似値の34.5秒を持ちながら「上がり最速勝利」「急坂コース連対あり(オープンクラスなら尚良い)」の両方を満たします。懸念はマイル以下向きのスピード対応力が2400mでは足枷となる可能性がありそうなこと。血統構成はアドミラブル(青葉賞馬・2017年日本ダービー3着)に近い。

 

―—シュガークン

先行力とワンペース気味の末脚を主張。Lyphard 4x4を持つ半兄キタサンブラックとは違い、ドゥラメンテが父とはいえノーザンテースト 5x4やNasrullah系が多く、末脚の成長力にあまり期待できないかもしれません。ここで期待されるのは先行力や失速耐性を武器に武豊騎手がその能力を最大限引き出すことでしょう。全体的な焦点は中団~後方になるでしょうから、盲点となる先行馬たちは目標とされる度合いが薄まります。性格なラップを刻むことのできる武豊騎手ならばアッと言わせるシーンがあっても不思議ではありません。過去の好走条件に照らすと「上がり最速勝利」「急坂コース連対あり(オープンクラスなら尚良い)」の両方に該当しますが、上がり数値が34.4秒とやや軽いのが気になります。懸念はこの上がり数値の軽さ≒経験値不足による失速耐性が鍛えあげられていないことです。

 

過去の激走馬と照らしてジューンテイク・シュガークンを取り上げましたが、距離短縮指向のスピードが強すぎることや鍛錬不足により能力全開が叶わない可能性などが懸念として強く主張しています。次いでピックアップするとすればメイショウタバルですが、能力の高さとは裏腹にロジャーバローズ的競馬をするにはあまりにも好走ゾーンがタイトです。いくら人気薄でもこれでは博打的要素が強くなります。さらにサンライズアース(35.1秒/すみれS1着)は前半緩く→後半ロングスパートという競馬が向くタイプで、先行粘走力からダービー激走を見出すNerco理論からはズレます。皐月賞4角膨らんで競馬にならずもゴール後体力有り余っている様子などからは面白そうなんですけどね。しかしながら、どうやら今年はNerco理論から本命馬を選出するのは難しい状況となっているようです。

 

 

 

■結論

2017年の将棋界は大きく注目を集めた年でした。

・史上最年長プロ棋士で「ひふみん」の愛称で親しまれた加藤一二三九段が現役引退。

・史上最年少プロ棋士藤井聡太四段がデビュー戦から公式戦新記録29連勝を達成。
羽生善治棋聖竜王戦で勝利し、史上初の「永世七冠」を達成。

晩年はバラエティ番組にも出演するなど多くの国民に愛されたひふみんの現役引退は寂しいものがありましたし、藤井フィーバーに沸くなかで羽生さんが永世七冠達成したことはどこか意地を感じさせるものがありました。このふたり、羽生善治vs加藤一二三といえばやはりあの伝説の棋譜「5二銀」がでた1989年のNHK杯

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これはぜひ映像で見ていただきたい対局(お時間がない方は9:20からがおすすめ)です。終盤。加藤九段が1八飛車で攻めの一手から、羽生五段が防戦の状況。最終的に2七銀で防戦するための手順を米長先生が丁寧に解説しています。米長先生の手順通り王手・王手と攻めても、その攻撃はあくまで防御のための攻撃。やはり誰しもが加藤九段の攻めを羽生五段がどういなすかという状況だと思い込んでいました。

そこで出たのが鬼手「5二銀」。攻撃のための攻撃。それを繰り出したのが当時無冠の羽生五段でした。ギリギリ詰まないという読みから攻撃に転じ、しかもこちらはギリギリ詰めるという状況。当時この一手を見た私の感情は「??」から「!?」にかわり「!!!?」と変化。米長先生の迅速な解説によりさらにその詳細が分かるとスゴすぎて震えたことを思い出します。驚天動地、驚嘆、センセーショナル、どの言葉でもいい表せないことに語彙力のなさを隠しきれませんが、とにかくこの一手に受けた当時の感情は今でも忘れません。

このいわゆる必殺となる「5二銀」が打たれたのち、解説・米長先生の「おぉぉぉぉ、やった!」という雄たけびが響きます。と同時に、驚きを隠せないのか加藤九段が銀を幾度となく触るシーンが映ります。ここがハイライト。この鬼手を打った羽生五段のすごさは言うまでもありませんが、加藤九段の挙動や米長先生の名解説などを含めて素晴らしいシーンに仕上がっています。それゆえにいまだ語り継がれる伝説の対局なのでしょうね。

 

さて、話は戻り、将棋界が加藤・羽生・藤井でおおいに沸き注目されていた2017年。

 

その2017年の皐月賞を制したのはアルアイン

 

 

1:57.8という当時のレコードを樹立しての優勝。しかしながらこの皐月賞1,2,3着となったアルアインペルシアンナイト・ダンビュライトは日本ダービーでは5,6,7着に着順を落としています。近年で皐月賞レコードを樹立したのはほかに2013年と2016年。

 

 

レコード決着となった皐月賞で追走力を活かしながら好走したロゴタイプコディーノリオンディーズアルアインペルシアンナイト、ダンビュライトは日本ダービーで人気を裏切るかたちで凡走しています。

ここでひとつの仮説が浮上します。『高速決着想定では距離短縮指向のスピードを持つ馬を狙う』のが皐月賞の鉄則であるならば、逆説的に『高速決着の皐月賞で好走した馬は距離延長適性を疑うべき』であるともいえるということです。

 

5着 [11ー08] 上がり4位 → 10人気 0.4.差 8着 タマモベストプレイ

6着 [16ー14] 上がり2位 → 14人気 0.4差 6着  テイエムイナズマ

1着 [12ー10] 上がり2位 → 1人気 0.1差 3着 ディーマジェスティ

2着 [15ー13] 上がり1位 → 3人気 0.0先 1着 マカヒキ

3着 [09ー05] 上がり3位 → 2人気 0.0差 2着 サトノダイヤモンド

5着 [16ー14] 上がり2位 → 1人気 0.1先 1着 レイデオロ

6着 [11ー10] 上がり4位 → 3人気 0.1差 2着 スワーヴリチャード

 

上記はレコード皐月賞で後方から末脚のみで上位に浮上した馬たちの日本ダービー成績を示したものです。左から皐月賞着順・[3角ー4角]通過順位・上がり3F順位・日本ダービーでの人気,着差,着順を記しています。

上位人気馬がしっかりと期待に応えて好走していることのみならず、ふた桁人気のいわゆる爆穴的存在であるタマモベストプレイテイエムイナズマが3着から0.1秒差のところまで迫っていることからも、やはり狙いは『レコード決着の皐月賞を末脚のみで上位に浮上した馬』ということになります。

 


今年の皐月賞は従来の記録を0.7秒も上回る大レコード決着でした。3着ジャンタルマンタルが朝日杯FSに続きNHKマイルCも堂々の勝利という一流マイラー。これはこれまでのレコード皐月賞でも上位に浮上したロゴタイプコディーノリオンディーズペルシアンナイトからも分かるように高速決着ゆえに距離短縮指向のスピードが活きたかたちでの好走です。

 

 

今年の皐月賞はハイペースで逃げたメイショウタバルを除いて皐月賞を俯瞰すると、隊列は二分していたことが分かります。こちらは2角から向こう正面に向かっているシーン。好走グループ(青枠)凡走グループ(紫枠)という2つの隊列が存在しています。それを踏まえて、各馬の前後半5F推移をみるとこのようになります。

 

59.0-58.1(34.7) 1:57.1 1着 ジャスティンミラノ(上がり5位)

59.2-57.9(34.2) 1:57.1 2着 コスモキュランダ(上がり3位)

60.1-57.4(34.1) 1:57.5 5着 アーバンシック(上がり2位)

60.2-57.4(33.9) 1:57.6 6着 レガレイラ(上がり1位)

60.6‐57.2(33.9) 1:57.8 7着 エコロヴァルツ(上がり1位)

 

ジャスティンミラノは共同通信杯のような緩いレースしか経験がありませんでしたが、未経験の早いペースを追走して末脚もしっかり発揮できたことは評価すべきです。これはジャスティンミラノが未経験でも器の大きさで対応してしまう天才型だったということでしょう。

共同通信杯のラスト2F特化型レースでそのスピードを末脚に叩き込み、一転して全体的なスピードを要求された皐月賞でもこのパフォーマンスを発揮したことから中距離適性にスペシャリティを感じざるをえません。これはイギリス芝約1000mのGⅠ勝ちのある母マーゴットディドのスピードを父キズナで距離延長指向にシフト≒スピード性能を活かした中距離適性の優秀さを示唆していると考えられます。思えば、2017年皐月賞アルアインとは「母が短距離GⅠ馬」「雄大な馬格」「レコード勝利」などで共通点が浮かび上がります。

ジャスティンミラノの打点の高さは素直に評価すべきポイントですが、中距離適性の高さゆえに距離延長となる日本ダービーでは前走ほどのパフォーマンスが発揮できない可能性があります。無敗の皐月賞馬で日本人が好きな馬柱のキレイさもあいまって単勝1番人気は間違いないでしょうが、単勝の期待値としては高くないと評価します。

 

そして2017年皐月賞アルアインを父に持つのがコスモキュランダ。この馬も前半1000mを59.2秒で走ったのは自身初。それでいて上がり3Fはメンバー中3位の末脚を繰り出しました。これは早々にポジションを取った好騎乗や、隊列が二分した最後方に位置することでスペースが大きくゆったりと走れたという幸運が重なったこともありますが、「全体的なスピードを活かしつつ末脚を使う」のがこの馬の本質だったことを表しているのではないでしょうか。

 

一方で、好走圏外グループに位置したアーバンシック・レガレイラ・エコロヴァルツ。特にアーバンシックとレガレイラは序盤の追走力が乏しいということが如実に表れました。この2頭は酷似した血統構成。父スワーヴリチャードは”Nasrullah”を9本(8×8×7×7×8×8×8×6×7)持っている種牡馬です。アーバンシック・レガレイラの母はNasrullahを4本(8×9×9×8)しか持ちません。備考として同じくスワーヴリチャード産駒のコラソンビートの母はNasrullah6本、アドマイヤベルの母はNasrullah5本、スイープフィートの母はNasrullah8本を持っています。

Nasrullahクロスを最小限に抑えつつ、サンデーサイレンスLyphardのクロスが主張されることでレース後半のスピードや末脚の成長が促されます。こういった血統背景を考えると距離短縮指向の全体的スピードが活きやすいレコード決着の皐月賞で凡走するのは無理もないと考えることができ、むしろ末脚だけで浮上したことを評価すべきです。

 


あの日、◎スワーヴリチャードの単勝を握りしめていた私はルメール騎手の超絶技巧に悶絶していたことを思い出します。そのスワーヴリチャードの息子アーバンシック・娘レガレイラが父の雪辱を果たさんとスタンバイ。

この2頭は血統構成から、マイル指向のスピード不足、末脚の総合力の高さと成長力への期待などが酷似しています。例年の傾向から日本ダービーは500kg超の大型馬が不振傾向にあるため、後者レガレイラを上に評価したいところです。しかしながら今年は近年最多4頭を上回る9頭(前走時点)ものデカ馬が出走。そこまでナーバスになる必要はないかもしれません。むしろ、初G1騎乗を日本ダービーで迎えハイペースの逃げで15着(6人気)しながら「レース自体に悔いは残さなかった」とキッパリいえる横山武史騎手の胆力が際立ちます。1番人気で迎えた近年よりも大きく勝負できる立ち位置は、器用ではないアーバンシックの能力を最大限引き出せる可能性があります。よって2頭の評価はイーブンとします。

なお、日本ダービー2着馬の産駒がダービー馬になった事例はほとんどありません。グレード制導入後ではハーツクライ産駒のドウデュースが優勝しただけ。そのハーツクライの血をひくスワーヴリチャードには「ダービーの雪辱を果たす資質」が流れているはずです。あの日の私の悶絶もここで昇華させ素晴らしいダービーにしたいと考えます。

 

禁断の2頭本命で臨む第91回日本ダービーに幸あれ―――。

 

◎アーバンシック

◎レガレイラ

【皐月賞2024~人気想定馬の評価~】

■ジャンタルマンタル

23.4-22.7-24.2-23.5 1:33.8 朝日杯FS

路盤改修以降の皐月賞では時計の高速化が進み、マイル指向の先行力や追走力の要求度が上昇。端的にマイル重賞でのレース経験や好走経験が皐月賞でのアドバンテージとなります。

マイルG1としては緩急の大きなラップ推移だったとはいえ、朝日杯FS優勝のジャンタルマンタルは優秀なマイルスピードを持っています。米国血統優位のジャンタルマンタルにとって朝日杯のような緩急の激しいレース≒日本主流血統向きのキレが優位性を持つようなレースは本来不得手とするはずです。騎手の手綱さばきで無効化できた部分があるものの、マイル指向の総合力の高さを魅せました。極端な後傾ラップとなった共同通信杯で尖った能力を発揮できなかったことからも、マイル指向の総合力の高さが証明できていると考えられます。

皐月賞の好走条件となるマイル指向の追走力・非主流血統の優位性を持ち合わせ、打点もマイルG1級となればあまり弱点がなさそうに見えますが、人気馬なので凡走の可能性を探ります。

ここでの懸念は、成長曲線の逆転と距離延長適性です。濃厚な米国血統がゆえに完成度の高さで2歳G1を勝利したと仮定するならば、日本・欧州血統を持つ馬が成長力で能力を詰めていること・または逆転していることを考えなければなりません。また、路盤改修以降の皐月賞で好走した父:米国血統は父ドレフォンのジオグリフのみ。ジオグリフの牝系には小回り重賞で滅法強いアンデスレディーがいました。距離延長適性ではマイル指向の総合力の高さがそれを反証していると考えられます。

基本的に「全方位的に強い馬」というのは存在しません。急加速力に特化しているならば、持続力では劣る性質を持つように、能力の先鋭化はトレードオフの一面を必ず持ちます。全方位的に強いような成績を残してきた馬たちは、打点の高さによって劣る部分をカバーしてきた可能性が高いということです。G1馬であるジャンタルマンタルはその打点を認めつつも、共同通信杯で中距離指向の末脚を補いきれず敗戦しています。さらに200m延長の皐月賞で中距離指向の末脚や失速耐性の要求度が高まる条件では2歳時に魅せたパフォーマンスを発揮しきるのは難しいのではと考えます。

 

■シンエンペラー

35.0-36.9-23.9-24.0 1:59.8 京都2歳S

前後半59.1-60.7という前傾レースかつロングスパートが誘発された京都2歳S。良馬場京都2000m≒内前有利とこのレース質感があいまってゴール前は大混戦。スパート余力で優位性を持った後方待機勢が上位に台頭。凱旋門賞馬(Sottsass)を全兄に持つ欧州血統の強みを生かしたシンエンペラーが最後に抜け出し勝利。

欧州指向の持続力と失速耐性に良さがありそうなレースぶりで、ホープフルS弥生賞では先行力も示しました。皐月賞でも適性や立ち回りに問題はなさそうですが、人気馬なので凡走の可能性を探ります。

ここでの懸念は全体的なスピード不足と成長曲線の未熟性。マイル指向のスピードを感じさせたレースはなく、血統全体も欧州色優位。古馬1勝クラス相当の京都2歳から、古馬2勝クラス相当のホープフルS古馬2勝クラス超相当の弥生賞とレースレベルが徐々に上がっています。着差が少しづつ離されているように成長曲線がまだ上がり切っていない可能性も示唆されています。スタミナや失速耐性に優位性を持つ能力を良馬場の皐月賞では活かしきれない可能性に注意したいです。

 

ビザンチンドリーム

35.6-24.6-24.2-22.4 1:46.8 きさらぎ賞

重めの芝で上がり特化型のレースが展開されたのがきさらぎ賞

新馬戦同様にあり得ない位置からぶっ飛んできたのがビザンチンドリーム。豪快な末脚は非常に魅力的ですが中距離指向的であるともいえます。これはマイル指向のスピード性能とは逆の適性を示しており、かつ早いペースを追走できる能力も示していません(血統的な補完も期待薄)。小柄な馬体と中距離指向の末脚特化型タイプという状況から全体的なスピードが問われる条件は不得手なはずで、皐月賞では前後内外でかなりの恩恵がないと浮上できないのでは。

 

ジャスティンミラノ

37.3-25.4-23.6-21.7 1:48.0 共同通信杯

超スローから上がり4F勝負。ポジションを取っても折り合って(エコロヴァルツ・ジャンタルマンタルは激しく折り合い欠く)、やや早めのスパートにも応えて2歳王者をちぎったのがジャスティンミラノ。

ジャスティンミラノは瞬発力勝負を2連勝していますが、末脚特化型ではなくむしろその逆。ワンペース指向の先行力を主体に戦うタイプに思えます。そのうえでこれだけの瞬発力を持っていることは今後のレースにおける高品質なオプションであるともいえます。

母は欧州短距離G1馬ですが自身の追走力は未知数。雄大な馬格とフットワークが魅力的で小回り替わりがダメとは言い切れませんが、東京→中山内回りが条件好転とは思えません。そして最大の懸念である初のペースに戸惑う可能性も捨てきれません。未知数が多いなかで人気している状況といえます。

 

■レガレイラ

35.4-36.8-24.5-23.5 2:00.2 ホープフルS

多くの馬がスタミナ切れを引き起こしていたレース。結果的に先行策から上位に来た2頭は凱旋門賞馬の全弟シンエンペラー(欧州血統)とダートで失速耐性を鍛えられていたサンライズジパング。2歳馬たちには苦しいレースを後方待機で構えたルメール騎手の危機察知能力からくる挙動はお見事。それに答えたレガレイラの末脚もお見事です。

能力の方向性としては反応の良い≒急加速力に優れる総合力の高い末脚が武器となりそうです。一方で先行力や追走力の成長に乏しそうな血統構成(父スワーヴリチャードの米国色を薄める&末脚を引き出す傾向にある母系)です。

ホープフルSではガス欠するライバルを尻目に浮上することができましたが、レース経験を重ね鍛えられた牡馬が集う&レース序盤から中盤における追走力の要求度が高くなる皐月賞では十分なパフォーマンスを発揮できそうにありません。ここでレース前半の忙しさを経験して向かうオークスで能力全開が叶いやすいのでは。

 

■メイショウタバル

36.3-25.2-22.5-22.9 1:46.9 つばき賞

前後半4Fが48.8ー45.4という後傾ラップ。かつ後半は22.5ー22.9を刻むスピード・瞬発力・持続力の末脚総合力が要求される高速ロングスパート戦。全体時計は古馬3勝クラス相当という秀逸さ。これをハナ奪い、道中他馬に絡まれながらも4角先頭から地力で叩き出したのがメイショウタバル。

ちなみに京都芝1800mの古馬3勝(1600万)クラスはあまり施行回数がなくざっと遡っても30数レースしかありません。しかしながら京都芝1800mの古馬3勝クラスを勝ち上がった馬のその後はなかなかに優秀なものがあります。古くはスズカフェニックスがその後高松宮記念を優勝、近年だとレイパパレ大阪杯を優勝しています。ほかにもアクシオン鳴尾記念中山金杯を連勝し札幌記念を2年連続好走、ミッキードリーム朝日CC優勝、アルキメデス朝日CC優勝、デスペラードステイヤーズ2着から翌年以降2年連続優勝、エスポワールランドネが重賞連続好走、メイショウカンパク(メイショウタバルの伯父)・ディメンシオンが重賞を人気薄で激走しています。

3歳2月に隠れた出世条件である「古馬3勝クラス・京都芝1800m」に匹敵するタイムを叩き出しているメイショウタバルの能力はかなりのものを秘めている可能性を示しています。

 

35.2-24.4-23.6-22.8 1:46.0 毎日杯

レース全体としては序盤息を入れてからは加速ラップ的なミドルスパート勝負。重馬場の巧拙が大きく影響したということを前提としても、メイショウタバルが叩き出したタイムに疑いの必余がなく秀逸なものです。馬場差などを考慮しても近10年で最高数値を叩き出しており、これはシャフリヤールやブラストワンピース、アルアインを凌ぐものです。

なお、スプリングS毎日杯皐月賞までの間隔が短く本番では消耗具合が結果に影響を及ぼします。古くはスマイルジャックスプリングSで激走後、皐月賞を凡走し日本ダービー激走。最近ではベラジオオペラがスプリングS快勝も皐月賞惨敗(展開不利)で日本ダービー4着と巻き返しています。路盤改修以降のスプリングSおよび毎日杯から皐月賞を好走した馬(ガロアクリーク、エポカドーロ、アルアインリアルスティールキタサンブラック)の共通点は雄大な馬格にあります。メイショウタバルは前走馬体重が500kgとこれに該当。当日の馬体重には注意しつつも現状はタフなローテーションを理由に評価を下げる必要はなさそうです。

メイショウタバルはゴールドシップ産駒らしいスタミナの豊富さ勝負根性を受け継ぎつつも、父産駒らしからぬレース序盤での前向きさを持ちます。父ゴールドシップは捲って3角番手という「実質先行馬」のような競馬を展開して無尽蔵のスタミナで他馬をなぎ倒してきました。実際ライバル馬の騎手は「ゴールドシップに先行されたらもうお手上げ」とコメントすることもありました。前進気勢の高さから父があまり表現できなかった競馬をできるのがメイショウタバルの良さとなっていくでしょう。

サンデーサイレンスの3×4はありますが血統全体では米国色を主張するため、長い直線や中距離指向の伸びのある末脚勝負では適性がズレます。先行力・スタミナ・勝負根性という武器を活かしきるのはダービーではなく皐月賞。基本的に逃げ馬は人気で買うキャラではありません(≒人気薄で騎手の意識が薄れる状況が買い時)が、これだけの条件が揃っており交わされて番手からでも折り合いがつくことからも期待は高まります。「守さん、うまく仕上げてください」と願わずにはいられません。