【天皇賞・秋】

■エフフォーリア

37.4-24.5-23.4-22.3 / 1:47.6 共同通信杯

序盤緩い流れからミドルスパート勝負≒先行有利の末脚勝負。L4Fが優秀で先行力(中距離指向)を活かしつつ持続力優位の末脚を使って勝利したのがエフフォーリア。12頭中7頭がメンバー中3位以内の上がりを使う状況だったことを踏まえても、エフフォーリアのトップスピードが水準級以上のモノはあると判断できそう≒持続力優位でも末脚の総合力高い。

 

36.3-35.4-24.0-24.9 / 2:00.6 皐月賞

前傾かつ中盤引き締まるラップ構成&道悪馬場≒タフな質感。レースの流れとは裏腹に序盤・中盤でエネルギーロスの少ない位置取りとなり終盤で持続力優位の末脚を全開に発揮した競馬をしたのがエフフォーリア≒共同通信杯までの3戦と似通ったレースぶり。もちろん状況が違うのでそれを引き出した横山武史騎手の手綱捌きはお見事の一言。

 

35.0-37.7-24.5-22.9-22.4 / 2:22.5 日本ダービー

序盤緩い流れからミドルスパート勝負。1~3着のL3Fは33.4秒でメンバー中1位タイを計測。4角同位置からハナ差の接戦を演じたのがエフフォーリアとシャフリヤール。進路を見つけてやや早いながらもスムーズに追い出せた前者、進路確保に手間取り開いたらギアを一気に上げた後者。エフフォーリア陣営が揃って敗戦の弁として述べたように、シャフリヤールのキレが優ったかたち≒急加速力&トップスピードを活かしての勝利。

 

Nearcoメモ※

エピファネイアは2014年ジャパンCで魅せた本質≒ハイペース展開を前受けしてガツンと末脚使う姿が印象的。エピファネイア×ハーツクライという血統構成からも持続力や馬力が優位な能力バランスは合点がいきます。そこに水準以上のキレ(≒SSのクロスが起因?)を併せ持つ点がエフフォーリアのパフォーマンスの高さを支えています。天皇賞秋は古馬牡馬で斤量58kgを背負います。東京コースならではの上がりの速さに加えて、終盤の負荷が大きい≒失速耐性を問われるレースとなりやすい傾向があります。56kgという負担重量を考えると、持続力優位ながらも末脚の総合力に秀でるエフフォーリアには末脚の観点では問題なく通用するはずです。懸念する点は高速決着≒巡航速度が求められる展開です。これまで序盤の負荷が少ないレースで勝利を重ねてきました。楽々先行策を取れるかたち≒エネルギー負荷が少なく末脚発揮に影響が少ない状況だったと考えられます。つまるところ、ハイペースで流れる展開となる場合、マイル向きの能力を示していないエフフォーリアは忙しい追走になり本来の末脚を発揮することができない可能性が高まります。

 

■コントレイル

35.3-35.3-33.9 / 1:44.5 東スポ

巡航速度が求められつつ上がりの速さも求められたレース。レースレベルは古馬オープン相当で2歳秋としては破格のパフォーマンス。コントレイルの高速馬場適性≒追走力の高さや末脚のキレの秀逸さを示したレース。

 

35.6-37.1-24.1-23.9 / 2:00.7 皐月賞

緩急大きい流れからロングスパート勝負。レースレベルは水準級も4角大外を回して突き抜ける、道悪・持続力勝負など本来得意とする土俵でなくとも勝ち切ったことなどからコントレイルだけはそれ以上のパフォーマンスレベルを示しています。

 

36.8-36.7-24.5-23.1-23.0 / 2:24.1 日本ダービー

序盤緩い流れからのミドルスパート勝負。コントレイルの圧勝ぶりとは裏腹にレースレベルは高くなく注意が必要です。これはラップ構成から中長距離指向の質感になった≒持続力の優位性が高まった(相対的にキレの優位性は低い)ためだと考えられます。皐月賞同様とまでは言いませんが、自身が得意とする土俵でなくとも圧勝したことからレースレベルとは切り離して考える必要がありそうです。これらのことからコントレイルの距離適性や末脚の総合力の高さを推測できるはずです。

 

35.6-37.0-24.3-24.7 / 2:01.6 大阪杯

ハイペース&上がり非常に掛かるラップ構成に、末脚の効きづらい道悪馬場という状況を踏まえて考えるレース。高速決着向きの巡航速度の高さやキレ優位の末脚の総合力の高さを武器とするコントレイルにとっては適性外の条件が揃う状況。

 

Nearcoメモ※

無敗の三冠馬ですから総合力が高いことは言うまでもありません。高速決着・末脚のキレには現役屈指の強さがあることは、好走&凡走したレースぶりからも明らかです。世代レベルをもってコントレイルの能力自体を蔑む論調もありますが、三冠レースすべてで自身の武器を最大限活かし切ったものはなく、少なくとも世代レベルとは切り離して考えるべきです。「良馬場の天皇賞秋」という舞台設定は東スポ杯ぶりに最高のパフォーマンスを発揮するチャンスでもあります。

懸念材料は負担重量の重さと成長曲線。負担重量の重さは最大の武器であるキレを鈍らせる要因となります。高速馬場であればあるほどその影響は薄まるので馬場状態には注意したいところです。そして成長曲線。キズナマカヒキワグネリアンらがそうだったようにディープインパクト産駒牡馬は古馬となってパフォーマンスを上昇させたケースが少ない傾向にあります。また、コントレイルの牝系も祖母Folklore(米国2歳G1勝利)など早熟性が目立ちます。成長曲線を血統的推測から上昇薄いと判断するか、無敗の三冠馬は規格外と判断するか、そこはリアルかロマンかといったところになりそうですが。

 

■グランアレグリア

35.4-24.0-33.3 / 1:32.7 桜花賞

中弛みの後傾ラップを早め進出で押し切る競馬をしたのがグランアレグリア。スピード持続力>ギアチェンジ力という能力バランスと合致するようなレースぶり。緩急の大きい展開を控えて良さが出そうにない点、テンのダッシュ力が問われると辛いなど条件がありそうで、今後の好走には騎手の手腕も問われる可能性。

 

23.0-22.7-23.0-22.9 / 1:31.6 安田記念(2020)

淀みないラップ構成×負担重量の重さによりキレの要求度が低減。グランアレグリにとっては距離短縮指向のスピードやワンペース気味の持続力を活かし切る展開。対アーモンドアイに関しては位置取りとスピードレンジの違いで勝ち切りました。

 

23.3-23.1-22.6-22.7 / 1:31.7 安田記念(2021)

淀みない流れからのミドルスパート勝負。ハイライトはグランアレグリアの行きっぷりの悪さ。いつもの追走力からスパートをかければ優勝はほぼ間違いないレースでしたが、スタートで後手を踏むと道中も促されるシーンがあったように位置取りの利を活かせませんでした。結果的に溜めて弾ける競馬≒末脚のキレが求められる競馬となりました。グランアレグリアの良さは距離短縮指向のスピードを武器としたワンペースの末脚にあるため、行きっぷりの悪さにより苦しい競馬となりました。

 

Nearcoメモ※

スピードの持続力に秀でるマイラー。マイル戦では全体的なスピードを活かしつつ末脚を発揮し勝利≒適性合致しやすい。スプリント戦ではダッシュ力不足から位置取りを不利にしますが、マイル戦同様スピードの持続力をワンペースの末脚に替えて好走。大阪杯の敗戦から良馬場の天皇賞秋ならという推測はつきますが、今回のメンバー構成はハイペースが望みづらい状況。エフフォーリア・コントレイル相手にスピードの優位性を活かせないとなると中距離で実績のある2頭を相手にがっぷり四つでは苦しい競馬になる可能性があります。レースぶりや血統から距離延長で溜めて弾けるタイプではなく後方からではさらに窮地。陣営の「距離が持たなかったらそれまで」というニュアンスからも強気な競馬をしかけてくる算段が高いです。