【緊急祝勝記者会見】

フェブラリーSをカフェファラオがレコード勝利した興奮冷めやらぬなか、某所にてNercoが緊急の祝勝記者会見を開いた。

 

――まずはフェブラリーS勝利おめでとうございます。

「ありがとうございます」

 

――カフェファラオの連覇はもちろんレコード決着も素晴らしかったですね。

「これがカフェファラオだからね。至極真っ当な勝利だし、なんなら外3番手につけた3角あたりでは勝ちを確信していましたよ。なぜ単勝5倍超となるまで舐められていたか本当に分からない。でも色々な考えがあるからオッズが生み出されるんだろうし、それは表裏一体で明日は我が身だから勝利は喜んでも浮かれてはいけないよね」

 

――不良馬場から回復しての重馬場でしたが。

「条件戦から察するに平均から2秒ほど早い馬場を想定していてね。ヒヤシンスSを35秒台後半で想定していたらそれをさらに突っ込んできて1:35.3だった。これは早いぞ、と」

 

――そのヒヤシンスSはシーヴィクセンを狙ったようですが。

「明け3歳でまだ経験が浅いでしょ。レシステンシアの阪神JFのように未経験のペースだとびっくりしてパフォーマンスを発揮できないケースがあるんですよね。今回でいえば1800で緩いレースしかしてない馬はパフォーマンス下げるのでは?という可能性をもとに距離短縮系の馬に狙いを定めた。」

 

――シーヴィクセンは東京ダ1400の走りが理由でしょうか。

「そうですね。他にも短距離指向の馬はいたけど末脚力はそれなりに備えてないといくらなんでも東京1600はもたない。あとはStorm Catの4×4も可能性を見出せた理由ですかね。端的に言えば米国系だからワンペース気味の緩急少ない展開になれば気持ち良く走るだろうな、と」

 

――ガチガチの米国血統だったカフェファラオが圧倒したのも当然というわけですね。

「この馬に関してはそれはもうスパイスでしかなくて、とにかくスピードの持続力を活かしてワンペース気味に走らせれば強いことは分かっていたからね。かしわ記念函館記念、チャンピオンズCはその能力を活かす場面が全くないから完全にノーカウントなわけですよ」

 

――対抗のソリストサンダーは4着でした。

「残念ですがここが手一杯ですかね。馬場を言い訳にしたいですがそれも含めて勝負だから運がなかった。レース前は『根岸S4着以下は~~』とかデータから評価を下げる雑音が多くて見てろよという気持ちも芽生えていたんですが、結果的にデータ通りだからデカイことは言えませんね」

 

――データは嫌いですか。

「予想の手法はたくさんあるから否定はしないですよ。データに好きも嫌いもなくて、その信憑性を大事にしたい。あくまで独立事象だと考えているから、過去は過去、傾向は傾向であって優先すべき事項は他にあるのではないかなと思いながらデータとは向き合っていますね」

 

――南部杯勝ち馬アルクトスは7着でした。

「この馬に関しては『南部杯南部杯・フェブラリーはフェブラリー』と考えるの正解だったようですね。南部杯とフェブラリーの関連性に期待を寄せ過ぎましたかね。道悪の鬼だったぶんいつもより着順を上げたということにしましょうか。距離短縮指向のマイルは絶好条件のはずだったので成長曲線が下降線であることは視野に入れたいですね。ただ末脚力がない馬だからこのレベルだと東京の直線が辛いということもある。まだダート戦線を盛り上げてくれるとは思いますよ」

 

――ソダシ凡走派に立っていたようですが。

「あぁ、そんなことも言っていたね。全体的なスピードがハマる馬場だったということが大きい。よく頑張りましたよ。昨日の馬場ならソリストサンダーには差されていただろうから運の強い馬だよ。単勝オッズ8倍で複勝4倍つく。ソダシ好走派の方々はこのオッズのゆがみを逃したらいけないよね。改めてアイドルホースなんだってことも感じたよ。今後はどうするんだろうか、そっちの方が気になるね」

 

――テイエムサウスダンも頑張りましたね。

「今日の馬場を確認しているうちに、これは臨機応変に対応しなきゃマズイなと思えたのがこの馬でしたね。そもそも被されるのが嫌いな馬だから外枠は歓迎だったし、全体的なスピードがあれば末脚力は補完できてしまう特殊馬場からも『あぁこれは消すとマズイぞ』という直感めいたものは湧いてきた。

 

――2ハロン過ぎあたりから我慢しきれずにハナを奪いました。

「あそこがひとつ目のハイライトですね。中距離馬のサンライズホープがハナに立つんだけど巡航速度の違いもあってペースが上がらなかった。そこでテイエムサウスダンがハナに。そこから岩田騎手は距離を持たせる意味合いも込めて中盤を12.3‐12.4で流すんですよね。これで後方勢は完全に詰んだ状況。ハナに立つまでとその後の対処はさすが岩田騎手という手綱さばきでした」

 

――レッドルゼルの感想もいただいてよろしいですか。

「カフェファラオの真後ろにいたでしょ。ちょっと不気味だったよね。進路を簡単に見つけさせないように4角あたりでは『戸崎そのまま締めていけよ』と心の中で呟いていた。結果的に距離の長さが川田騎手の脳裏にあって強気に踏んでいくことは憚られたのかな。同じ距離短縮指向の馬でもテイエムサウスダンとレッドルゼルの性質の違いも浮き彫りになった。『適性?』『性質?』という方でもこれは分かりやすいレースなったと思うんだけどね」

 

――馬券はどう構築したのでしょうか。

「前々日オッズからカフェファラオの売れ方が案外で驚いていた。そんなにレッドルゼルがいいか?そんなにソダシがいいか?とオッズを見るたびに『カフェファラオを舐めんじゃねーぞ』という感情がふつふつと湧いていた」

 

――昨年覇者から南部杯好走2頭のワイド?

「もちろんそれは考えていた。馬場確認してテイエムサウスダンがチラついてもこの3頭は揺るがなかった。それぞれなりなりのオッズがついていたし、スイングする価値はあるなとも思っていた。そこからチラついたのがミュアヘッド

 

――ミュアヘッド北京五輪カーリング女子のミュアヘッド

「そう。今日の午前中に決勝があって日本は負けてしまったけど、イギリスも前回平昌五輪では苦汁を嘗めていた。それも3位決定戦で負けたもんだからメダルも持ち帰らずに終わった。ミュアヘッドは「また勝利の一投が来た時の為に準備する」と言っていた。そして前回3位決定戦で負けた日本に今回勝利してゴールドメダルを獲得した。おこがましいけどこれが自分に重なってね」

 

――忘れ物を取りにきた。ということ?

「昨年もカフェファラオは本命でした。破格のユニコーンSを根拠に絶対勝つと言い張っていた。1番人気だから威張れないんだけど。そこまで確信があるのならば単勝3倍でも買えば良かったのに色々と散らして方向性はいいのにというダサい結果に。あれはかなり堪えたね。かなりの後悔だけが残った。ミュアヘッドじゃないけど『その時が来たのならば勝負しよう』という気持ちになった。そして買った馬券がこれ」

 

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――これはゴールドメダルですね。

「今はただただ褒めて欲しいよ。昨年の鬱憤もあり、近走を揶揄する声も振り払い、『これがカフェファラオだ!』という場面を魅せてもらい、ついでに馬券まで獲らせてもらったのだからこんな良い日はない。実に爽快な競馬をさせてもらったよ」

 

――おめでとうございました。

「ありがとうございました」