フェブラリーS2021

・カフェファラオ

スピードの持続力が優位のワンターンマイル専用機。追走力と末脚力を高いレベルで兼ね備えていることを示したユニコーンS≒ゴールドドリームノンコノユメよりもハイパフォーマンスだった通りフェブラリーSをあっさり勝ち切りました。米国芝マイル指向の母に米国三冠馬American Pharoahを迎えた血統構成から、米国型特有のワンペース気味な性能であることは感じられます。緩急の大きさが生まれやすい&追走力が活かしづらい周回コースや中距離などではパフォーマンスを落としているように血統的にも戦績的にも、高いレベルではワンターンマイル≒東京1600がベストな舞台です。近走の不振にはなんら関係なく、フェブラリーSではノビノビと走る姿が想像できます。時計の出やすい馬場ならばさらに信頼度は上がりそうです。

 

・レッドルゼル

短距離指向の追走力と末脚を兼備した馬。川田騎手が手綱を取ってからは末脚を活かす形で追走力を末脚に転化したかたち。カペラS(中山ダ1200)を追い込み好走、根岸S優勝のパフォーマンスはまさに短距離指向を示すもの。距離延長では緩急の大きさが追走力の良さを相殺するため末脚不足につながりそうです。昨年フェブラリーSの4着は立派ですが、例年よりも軽い砂質(≒暖冬が影響?)であること川田騎手のコース取り含め最高の騎乗があってのもの。距離延長適性がなく昨年の再現性も信頼度はそこまで高くないとなると期待値は低いはずです。

 

・ソダシ

全体的なスピードが武器に1600~1800が活躍の舞台。ダート適性はまだ未知数としておきますが、クロフネ産駒の上位ダート馬であるホワイトフーガテイエムジンソク・ブラボーデイジーの戦績から察するにクロフネ産駒はダート上級線ではスタミナ指向のレースに適性がある傾向があります。桜花賞レコード勝利するほどスピード適性のある馬がダート適性も魅せる(ましてや白毛馬で)となるとそれはアグネスデジタル級の「変態」認定です。つまりソダシ好走派の馬券師はそれほど相反する適性が成立することをソダシに求めているということになります。冬ダートへの適性が見出しづらく、末脚不足からレース適性のなさも追い打ちとなる可能性が高いためソダシ凡走派に立ちたいと思います。

 

ソリストサンダー

末脚の総合力に優れる1700巧者。晩成型で距離延長によりパフォーマンスを上昇。昨年は賞金加算のため58㎏で参戦した門司Sから中4週で本番を迎えた。そのフェブラリーSも前内有利の馬場を後方から外を回す展開に泣く。かしわ記念2着、南部杯3着と実力は示している通り。34.4-23.8-24.9というラップ推移だった根岸Sは近年稀にみるハイペースと乾いた馬場により短距離指向の追走力とパワーの優位性が要求されるレースでした。ソリストサンダーは距離延長によって芝指向の末脚を活かしてパフォーマンスを上げてきた馬です。短距離指向の追走力やパワーの優位性が要求されるレースは適性外だったと割り切ることができます。3カ月前に武蔵野Sを勝ち切っている点からも年齢による衰えは考える必要はなさそうです。突き抜けるには末脚の打点の高さが足りなさそうですが、短距離指向の根岸Sからパフォーマンスを上げてくることは濃厚と考えます。

 

テイエムサウスダン

パワーを基盤とした失速耐性に優れる1400巧者。不調の時期もありましたが若い頃からいかにも1400のスペシャリストという走りを魅せてきた馬です。大型の馬体や父サウスヴィグラスからもパワフルな走りから乾いた馬場やローカル戦での強さは実績通りです。一方で、距離延長や高速馬場などでは末脚不足を露呈しやすいのも特徴的。34.4-23.8-24.9というラップ推移だった根岸Sは近年稀にみるハイペースと乾いた馬場により短距離指向の追走力とパワーの優位性が要求されるレースでした。持ち前のパワーと失速耐性を存分に活かせるレースで勝利。元来1400mには天才的な才能を魅せていたことに加え、この消耗戦的な1400mに抜群の適性を示したことは翻って他条件&距離でのパフォーマンス低下を示唆していると考えます。距離短縮指向の追走力を活かしつつ失速耐性も両立させる条件となると「道悪のハイペース」ぐらいで好走域はかなり狭いはずです。

 

エアスピネル

一瞬のキレ味に優れる芝ダ兼用マイラー。昨年フェブラリーSは前内有利の馬場を内に潜り込んで一瞬のキレ味で襲い掛かる最高の競馬。21年武蔵野Sでは追い出しを待たされる場面がありながら0.2差2着と年齢による衰えもそこまで気にする必要はなさそうです。ただし、加齢していることは確かで今年9歳、特殊だった昨年→例年通りの冬馬場などから昨年の競馬をどこまで再現できるかは懐疑的です。2歳からG1を賑わせている馬が9歳まで活躍していることには敬意を表しつつ厳しい評価をしたいと思います。

 

アルクトス

追走力と芝指向のスピードが武器+道悪の鬼南部杯連覇南部杯フェブラリーSの関連性が深いことは「フェブラリー取扱説明書」で示した通りですが、アルクトスは南部杯3戦2勝2着1回に対しフェブラリーSは2戦9着2回と相反する結果となっています。20年(23.4-23.0-24.5-24.3)は序盤からワイドファラオとやり合う展開で差し追い込み競馬を誘発≒自滅的失速。21年(23.3-23.2-23.9-24.0)はイーブン風味のラップ推移で前後内外の影響が響きやすい&イン捌いた馬が台頭する馬場のなかで外追走失速。このように南部杯の結果がフェブラリーSにリンクしない要因はあったと考えます。今回道悪が想定されるフェブラリーSは過去で一番走りやすい条件となりそうです。ワンターンマイルでの強さは南部杯で証明済み。過去南部杯を2勝以上している馬はすべてフェブラリーSで馬券になっていることを考えてもここは好機到来です。芝指向のスピードを活かした追走力を道悪で最大限活かすことができれば、末脚不足(特に急加速力)を補完してゴールまで走り抜くことができそうです。ただし南部杯勝ち馬で距離短縮指向のスピードを感じさせる点ではベストウォーリアが最も近い存在≒詰めの甘さに注意しておきたいところです。

 

サンライズノヴァ

芝指向のキレる末脚に秀でるマイラー。東京1400~1600が大好物であるように、長い直線で芝指向のキレる末脚を活かすのがベストパフォーマンス。距離延長でも追走力不足は変わらず、かつ緩急の回数増≒小脚を使う回数が増えるため脚が溜まりづらいことから末脚不足を誘発します。近走はJBCスプリントしか好走できていませんが、距離延長適性のなさや、追走力優位、芝指向の末脚が活きないなど適性外のレースがほとんどです。能力全開であれば58㎏を背負ってソリストサンダーやエアスピネルを完封できるほどの能力は持ち合わせています。懸念は加齢による衰え≒スピード能力の減退。JBCスプリントでの好走は吉原騎手の剛腕による結果だとしても、21年チャンピオンズCではメンバー中3位の末脚を繰り出していることから「合わせ技一本」で衰えの影響は少ないと判断します。追い込み脚質なので前後内外の不利は覚悟のうえで、激走の可能性を模索したいと思います。

 

 

・結論

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