■レモンポップの可能性
12.8-11.5-11.5-11.6-11.6-11.4-11.5-11.9 / 1:33.8 (Nearco測定値)
あくまで個人測定値ではあるという前置きをしたうえで、このラップはお見事というほかない。その賛美はレモンポップにだけ贈られるものではなく、もちろん勝利に導いた坂井瑠星騎手にも贈られる。
『GⅠはウマ5ヒト5』
— Nearco (@NearcoTesio) 2023年10月8日
コンマ何秒の勝負の世界ですからね。レベルが上がれば上がるほど騎手の役割は当然に増加。ちなみに平場はウマ7ヒト3ぐらいで考えております。
ダ1600の打点の高さでいえばカフェファラオに軍配。その打点が120点だとして成長曲線の下降から90%なのか80%なのか。レモンポップは100点を叩き出すと仮定して騎手含め80%しか出せないようなら96点。レモンポップにレースの軍配は挙がるといった具合だ。
— Nearco (@NearcoTesio) 2023年10月8日
坂井瑠星騎手は100点満点の騎乗を難なくやってのけました。南部杯が1400m適性のある馬が好走しやすい(≒距離短縮指向のレース質感になりやすい)ことを考えると、レモンポップはこれまでにない打点を叩き出したと考えられ、「最高打点120点×100%の騎乗」=120点のレースでした。
一方で、「高速ワンターンマイル」は大得意とするカフェファラオと高松亮騎手は初コンビがゆえの難しさがあったことは想像に容易いはずです。端的にいえば可もなく不可もなくかつ千載一遇のチャンスで攻めの騎乗もなくということから70点の騎乗。よって「最高打点120点×70%騎乗」=84点のレースでした。さらにカフェファラオに関してはバリバリ米国血統の6歳秋ということから成長曲線の斜陽による能力減退や、陣営が果敢に距離延長指向のレースを狙ってきたことによる南部杯適性不足(距離短縮指向の能力不足)を考慮すると点数としてはさらに低くなっている可能性もあると考えられます。
このように2頭の差は40点超となり、フェブラリー連覇&レコードホルダーのカフェファラオと現フェブラリーホースのレモンポップにクッキリと明暗が分かれたのも理解できるのではないでしょうか。
12.8-11.5-11.5-11.6-11.6-11.4-11.5-11.9 / 1:33.8 (Nearco測定値)
さて、冒頭で示したレースラップに戻りましょう。ハナを奪いそのままゴールしたレモンポップの個別ラップでもあります。まず見事なのがテンとラストを除いた約1200mで11.4~11.6秒を刻み続けた点です。いわゆるエネルギー効率の良い走りをした好例となります。時計の出方次第では、それこそアルクトスがレコードを叩き出した時と同じような馬場であれば新レコードが出ていた可能性は非常に高いと思われます。
南部杯の前日に行われたシカゴ・マラソンでは男子の世界新記録が誕生してました。初の2時間1分切りでいよいよ2時間の壁越えが見えてきた歴史的瞬間でもありました。このレコードを叩き出したキプトゥム選手の40kmまでの5km毎のラップタイムがこちら。
14.26-14.16-14.27-14.30-14.25-14.27-13.51-14.01
さすがにコース形態までは把握していないのでそのあたりはご容赦願いたいのですが、14分30秒を刻み続けて、終盤ひとつ勝負に出て、失速耐性を活かして終いまで脚を伸ばしたというラップバランスとなっています。レコードが出るときは得てしてこのようなエネルギー効率の良い走りをするものです。
競馬におけるレコードは馬場の影響も大きく受けますので「エネルギー効率の良い走り即ちレコードタイム」とはなりませんが、必要条件と十分条件の関係性ではあるといえます。
レモンポップの次走はBCダートマイル・JBCスプリント・チャンピオンズCのうちから熟慮するとのこと。個人的にはBCダートマイルで是非ともその能力を全開にしてもらいたいと考えます。1400mで楽々先行することやドバイGSでの経験から先行力>末脚力という能力バランスで、南部杯圧勝からも距離短縮指向の能力適性は間違いなくあります。くわえて南部杯で魅せた巡航速度の速さとその維持力は米国ダートマイル戦ならば十分に戦えるスピードレンジにあります。さらに、大出遅れのメイショウハリオが突っ込んできたフェブラリーSでは前後厳しいなかでも優勝したように失速耐性も兼ね備えています。
先行力、スピード維持力、失速耐性。レモンポップの武器となるこの3つの能力が活きるのは、JBCスプリントでもチャンピオンズCでもなく、BCダートマイルであると断言します。陣営の英断を待ちつつ、個人的な願望とさせていただきます。
■備考
・南部杯はやはり距離短縮指向の先行馬重視
・イグナイターはこの一年のレース経験により成長していた
・イグナイターは昨年と違い、ひと叩きしてココ狙ってきた
・1,5着馬の競馬点40点超差が開いたところに2,3,4着馬が飛び込んできた
・カフェファラオは見限れないが次の適鞍は2024年フェブラリーS
・カフェファラオは米国濃厚血統で成長力斜陽
・高松亮騎手は罵詈雑言を浴びせられる騎乗はしていない
・ジオグリフは全体的なスピードが武器なので芝中距離の周回コースでこそ
・昨年も言及したがこちらのサイトはどうにもラップ把握がひどい
第36回マイルチャンピオンシップ南部杯JpnI |web Furlong
・テン3ハロンが36.7秒は驚愕。
・吉原でもソリストサンダーは無理。