【有馬記念2022】

▼傾向と対策 ※路盤改修後の2014年からを対象

21年 41.3-37.0-24.6-24.6-24.5 2:32.0

20年 43.3-38.2-24.6-24.4-24.5 2:35.0

19年 40.8-36.0-23.8-25.7-24.2 2:30.5

18年 42.1-37..6-23.8-23.6-25.1 2:32.2

17年 42.5-38.8-25.0-23.8-23.5 2:33.6

16年 42.0-38.3-24.7-23.8-23.8 2:32.6

15年 43.4‐38.1‐24.6‐23.4‐23.5 2:33.0

14年 43.7-39.3-25.3-23.9-23.1 3:35.3

①基本的には上位人気での決着も8回中5回で人気薄1頭が激走

②ミドルスパート勝負は普遍的でも道中のペース次第でタフさが変化

③3歳馬&牝馬は斤量差で能力補完しやすい

④小回り適性≒中距離重賞先行好走で評価

⑤リピーターや非根幹距離巧者に注意必要

 

▼タイトルホルダー

44.1-39.5-25.1-23.7-23.0 2:35.4 日経賞

序盤~中盤まで緩く、そこから加速し続けるようなミドルスパート勝負。

36.5-35.9-38.3-37.2-23.4-24.9 3:16.2 天皇賞(春)

中盤緩み気味のミドルスパート勝負。全体としては序盤が早かったことからエネルギー効率の悪いラップ推移。余力が多く削られているなかでのミドルスパートは道悪馬場での長距離戦ということも併せて考えるとスタミナの優劣が顕著に結果へ現れた模様。

33.9-23.7-24.0-23.7-24.4 2:09.7 宝塚記念

緩急の少ない持続ラップ。全体としては序盤やや早く、中盤引き締まり、終盤やや掛かるという具合。ハイラップを刻み続けレコードをマークしたことは中距離指向のスピードが問われていたことを意味します。

古馬となった春3戦で魅せた能力は「レース支配可能な先行力」「無尽蔵のスタミナ」「中距離指向のスピード」と有馬記念において非の打ちどころのないものとなっています。欧州色の強い母系にドゥラメンテ(≒日本主流血統を凝縮)を迎えた血統。数々の経験を糧とすることで人馬ともに成長してきている印象です。

天皇賞春ではディープボンドやテーオーロイヤルからの圧力を軽々と跳ね返した無尽蔵のスタミナだけでなく、宝塚記念ではパンサラッサのハイラップを追いかけられるだけの中距離指向のスピードも併せ持つことを示しました。サンデーサイレンスの血が奥まるにつれて持続力の優位性が上昇している今日の日本競馬において、レースを支配できる先行力はアドバンテージとなりつつあります。キレの後退は後方から差を詰めるだけの急加速力やトップスピードの減退を意味します。逃げ馬不在の今回、ただでさえ支配的先行力を持つタイトルホルダーは「前後の利」すらも手にすることとなります。

 

▼イクイノックス

23.6-23.8-25.1-24.3-22.9 1:59.7 皐月賞

全体的には急→緩→急というラップバランス。中盤以降はゴールまで加速し続けるロングスパート勝負。

35.1-35.5-24.3-23.3-23.7 2:21.9 日本ダービー

日本ダービーとしては早いペース。追走力と失速耐性に秀でる馬が末脚を伸ばしやすかった印象。

キレ・持続力を兼備した末脚が武器。欧州色を主張する母系にステイヤー気質のキタサンブラックを迎えた血統からはタフな質感に適性がありそうですが、ここまでの戦歴からは末脚のトップスピードを活かした走りに適性があるというギャップが存在します。

皐月賞では序盤にポジションを取ったぶん、日本ダービーではやや勝負仕掛けしたぶんによりそれぞれ末脚が鈍っている様子があります。これはあくまで高いレベルでの話ですので総合的にみればキレ・持続力ともに兼備していると言っていいはずです。

皐月賞日本ダービーも大外枠だったことから「自ら動かざるを得ない」ということが競馬の選択肢としてあったことが末脚を鈍らせた要因だと考えます。一転、脚を存分に溜めた天皇賞秋ではこれまでで一番の伸び脚を魅せました。溜めれば伸びる、余力があればチカラいっぱい走ることができるのはどの馬も一緒です。焦点はその「程度」です。イクイノックスが天皇賞で魅せた末脚は32.7秒(推定:11.0‐10.6‐11.1)は至高の領域そのものです。これにより血統と能力のギャップを受け入れるに至りました。

道中無駄な動きをせずに溜めたエネルギーを終盤に爆発させるという走りを表現するのは、東京コース>中山コースであることは言うまでもありません。

 

▼ジェラルディーナ

持続力と馬力に秀でる超良血馬。桜花賞時では428kgだった馬体重が前走470kgまで増加したように顕著な成長力を示しています。持続力や馬力を武器とするためには筋肉量が下支えする必要があり、馬体重増は本来の能力を発揮する条件が揃ったことを意味します。ここまで全5勝は非根幹距離でのもの≒根幹距離が未勝利なのはキレ不足が要因。母ジェンティルドンナが有終の美を飾った2014年有馬記念は非常に緩い流れから前後内外の利を得てのものでしたが、その母よりも有馬記念への適正は見出せそうです。

ただし、近3走から期待値という意味では魅力的ではありません。小倉記念では勝負所で動けず先行から抜け出した馬に離された3着。内枠決着となったオールカマーは馬番2番から内で溜めて抜け出し勝利。外枠決着となったエリザベス女王杯は大外枠から絶妙な進路選びで勝利。他力本願とまでは言いませんが、近2走は「勝利の風」が吹いていたことは間違いありません。そしてメンバーレベルの違いから小倉記念のように踏み遅れた場合は掲示板も怪しい可能性が出てきます。母ゆずりの「運の良さ」を理由に信頼するには実力とオッズのバランスが見合っていないと判断します。

 

▼エフフォーリア

持続力優位の末脚を武器に成長につれてスタミナ色が主張してきている印象です。ここまで最大パフォーマンスは「緩い流れからミドルスパート勝負」の走りができたとき(天皇賞秋:24.3-23.9-24.3-22.9-22.5)です。大阪杯宝塚記念は追走力不足から余力を削がれて末脚を発揮できず良いところがひとつもありませんでした。3歳時には斤量差やスタミナ色が主張しすぎていないことからある程度の追走力も補完できましたが、成長した今、好走するペース幅が少ない状況になっています。能力的な成長力に疑問が残る点、好走ゾーンがかなり狭まっている点から厳しい評価を。

 

▼ヴェラアズール

36.3-37.0-24.5-23.1-22.8 2:23.7 ジャパンC

欧州指向の末脚と馬力が武器の中長距離馬。父エイシンフラッシュのドイツ色が主張している能力バランス。ジャパンC当日は欧州血統が利きやすいレース傾向になっており、ムーア騎手の超絶技巧もあっての勝利≒再現性は低い。序盤をゆったりと走ることで末脚の余力を担保しているようで、大回り+長い直線&緩いペース+欧州指向の末脚が利く馬場だったジャパンCは条件としてもこのうえないものでした。コーナー6回の有馬記念ではジャパンCとは逆方向の能力が要求され、そのためジャパンC有馬記念の連勝はディープインパクトまで遡らなければなりません。距離適性や持続力優位の末脚は魅力的ですが、小回り適性不足は無視できない要素となりそうです。

 

▼ディープボンド

先行力と持続力を武器とする中長距離馬。宝塚記念での敗戦は中距離戦でのレコード決着に対応しきれなかっただけで、それでも3着とはハナ差の4着。21年有馬記念では内々を追走し直線しぶとく伸びて2着。道中でギアをあげて好走するタイプではありませんが、先行勢が手薄かつ枠順次第ではリピーターとして今年も激走しておかしくありません。

 

▼ボルドグフーシュ

持続力優位の中長距離馬。大味な競馬に強みがあるようで直線の長いコースや距離延長でパフォーマンスを上昇。前走の菊花賞こそ馬群をうまく捌いて進出を果たしましたが、同世代の長距離戦だったことが影響している印象です。距離短縮かつ小回り適性要求、さらにはメンバー強化の相手を捌いて進出となると難しい条件が重なりそうです。狙うはアドマイヤモナーク的な漁夫の利作戦しかないのでは。

 

ジャスティンパレス

米国型の追走力を主体としたバランスの良い中距離馬。ほぼ一貫ラップのホープフルSを5番手追走から2着、高速ロングスパートの神戸新聞杯を3角4番手から2位の上がりで抜け出し1着。小柄な馬体から斤量減は条件好転で、米国型の追走力が利く小回りコースも条件は良し。ディープインパクト産駒の有馬記念好走馬はジェンティルドンナサトノダイヤモンド・ワールドプレミアといずれもG1馬なのは気になりますが、激走候補になりうる存在では。

 

■結論

本命は、タイトルホルダー。

先行力・持久力ともに秀逸。サンデーサイレンスの血が世代を重ねることで日本競馬主流血統の転換期を迎えている現在で、天皇賞(春)でスタミナ自慢を捻じ伏せ、宝塚記念で中距離スピード能力も顕示したように、肉を切らせて骨を断つ戦法は今後の指針を示しているといっていいはずです。人馬ともにペースを乱す存在が希薄なことから前後の利が得られ、栗東所属馬が交通障害の影響から輸送にスムーズさを欠くなど状況としても年度代表馬への道が整ったのでは。

対抗はジェラルディーナ。分析時点では「運の良さを理由に信頼するには実力とオッズが見合っていないのでは」と評しましたが、有力馬で最内枠&モーリス産駒の成長力を軸に「宝塚記念からの逆説的仮説」から評価を上げることとしました。宝塚記念からの逆説的仮説とは、有馬記念宝塚記念の相関性が高いことから来年の宝塚記念で好走する可能性がある馬を先取りでリンクするであろうここ有馬記念で青田買いするといった理論です。七冠牝馬の母と同様に内枠を引いた運の強さに加え、その母よりもややパワー型に出ている能力バランス、馬体重増加からも顕著な成長力と本格化の気配、非根幹距離での強さから当初の予定よりも大幅に評価を上げて送り出したいと思います。

 

激走候補はジャスティンパレス。春とは別馬に成長しています。追走力を活かしつつロングスパート性能を発揮する競馬が合っているようです。小柄な馬体から斤量減は好印象。東京コースでは剛腕で末脚を伸ばしてバシバシ好走させるマーカンド騎手ですが、中山ではその剛腕を失速耐性補助に変えて先行馬を粘らせる競馬が合っている模様。ハイペーで流れた菊花賞を先行しながら勝負所詰まっても3着へ好走したタフさも評価。前後内外の利を得られるような競馬を期待します。

 

【JBC2022】

■OROカップ

今回のOROカップで大注目されるのが「賞金3000万円」であること。中央でもリステッド~GⅢ程度の高額賞金。これに集った出走馬はすべてが元JRA所属。されとて地方馬としてこの賞金は喉から手が出るほど欲しいもの。バチバチの競馬が観られると馬券度外視でもワクワクするレースとなりそうです。

 

・トーセンスーリヤ

中距離で先行力を武器にキレずもバテない持続力が武器。昨年の函館記念は1:58.7で勝利。これはニッポーテイオーサッカーボーイトウケイヘイローマイネルスターリーらに次いで歴代5位のタイム。洋芝&小回りと先行力主体のバテない脚が合致することを示しています。20年新潟大賞典や21年新潟記念でも好走歴はありますが、いわゆる高速馬場とは程遠く、降雨の影響や荒れた路盤という状況でのレースでした。トップハンデで見せ場ありの中山金杯を最後に地方転厩となりましたが、ここの3000万円を狙ってのものだったのではと思いたくもなります。ジワジワと成長を遂げてきた馬ですからローカル重賞を賑わせていた頃から一年で途端に能力衰えるという懸念も解消できそうです。岩手リーディングを独走する山本聡哉騎手を鞍上に拝してきたことも万全を期してきたなと陣営の期待がうかがえます。

 

・ウインイクシード

中距離で全体的なスピードを活かしなだれ込む競馬がセオリー。ハイペースでもそれなりに上がりをまとめる能力を感じさせる走り。中央重賞では最後に末脚のある馬に敗戦するシーンが多々見られましたが、盛岡芝1700mならば末脚のキレ味が活きるシーンはまず見られないのでコース相性は最上位と考えられます。この馬もOROカップの3000万を狙って地方転厩してきた1頭では。

 

・マウントゴールド

前走いしがきマイラーズ(盛岡芝1600)は転厩初戦で+20kgと9歳にして最高体重での出走。道中インの5番手を追走も直線外に持ち出すロス。盛岡の芝でこのロスは致命的。そこから盛岡芝に強さを魅せるソロフレーズを写真判定に持ち込むのは能力の証。鞍上は岩手リーディング2位で先週8勝と絶好調の村上忍騎手。今回は直線クリアに迎えられそうな枠順で絞れれば好走圏はあってもいい。

 

・ソロフレーズ

盛岡芝に適性あり。勝負所で踏んでいけるのは強み≒4角鋭角のため3角からの追撃力がモノを言いやすい。今回懸念されるのはその追撃力を活かせない可能性のある内枠。先行力のある強敵が相手となる今回、追撃のために踏むタイミングやスペースを失う可能性があります。スムーズだった前走もマウントゴールドに迫られていることを考慮しておきたいです。3000万はともかく3着でも600万、4着だと300万を考えると着狙いで賞金獲得という策もありかと。

 

・アトミックフォース

中央時代の勝利は4勝すべて2000m。そのスタミナを武器に前走せきれい賞(盛岡芝2400)はレコード勝利。今回の焦点は距離短縮。中央オープン昇級後の成績をみると2000mでの大敗が目立ちます。これは中距離指向の末脚不足≒急加速力やトップスピードで優位な相手に抵抗するだけスピードの持続力が不足していたためです。そして意外にも1600~1800での成績は比較的良好。これは末脚のキレが削がれる条件で先行力を武器になだれ込むことが可能だったからでしょう。盛岡芝1700mはこの条件に合致しやすく、有力馬を内に閉じ込めやすい枠順からも一発魅せていいはず。

 

◎トーセンスーリヤ

◯ウインイクシード

▲アトミックフォース

☆マウントゴールド

△ソロフレーズ

 

JBCレディスクラシック

・ショウナンナデシコ

パワー指向のダート牝馬オルフェーヴル産駒&ノーザンテースト5×4×4≒成長力の塊のような血統。前走は捲ってきた馬にペース乱される&直線行き場なく伸びない内&前哨仕上げ(?)が影響しての失速。スパーキングレディースCのようにサルサディオーネの外で4角を迎えたい。序盤をどう捌くかが4角のスムーズさに影響≒結果に直結するはず。能力は問題なく最上位。展開のアヤに打ち勝てるかどうか。

 

ダッシュ力の差と枠順並びからサルサディオーネがハナを譲らない。サルサディオーネは中盤の緩急が少ないペースを生み出しやすい逃げ馬。今回は徹底先行を宣言のテリオスベルが絡んでくる模様。そこまでのダッシュ力&追走力はなく行っても番手で収まりそうですが。

 

・内枠先行勢強いパターン (ショウナンナデシコサルサディオーネテリオスベル)

・漁夫の利パターン (グランブリッジ、プリティーチャンス)

どの展開を選択し馬券として表現すべきか当日まで悩んでみます。

 

 

JBCスプリント

・レッドルゼル

短距離戦において末脚のキレが武器。フェブラリーSでの凡走は短距離指向の追走力を活かせずマイル指向の末脚不足(滞空時間不足)も露呈するため。20年カペラSでも鋭伸しているように短い直線でも安定して走る末脚は魅力的です。ただし、58kgを背負ったジャスティン・昇級初戦&重賞初挑戦のダンシングプリンスらと肉薄するに留まったという見方もできます。

今回懸念されるのは1枠1番。昨年のJBCスプリントでは最内を掬っての勝利でしたが「1400m&4角かなり窮屈で馬群バラける」ことが直線の短さやインを突く不利を軽減させていました。国内短距離ダートの有力馬がほとんど揃った≒「先行勢が強力&4角外を回す可能性が増大」となります。最後の直線が約400mあるドバイゴールデンシャヒーンで2年連続2着となったことからも、約300mの直線しかない盛岡ダ1200mでは前後内外の不利を覚悟する必要がありそうです。

 

・ダンシングプリンス

ダッシュ力と失速耐性に秀でた快速馬。福島ダ1150mでレコードを記録、21年カペラS(32.9→36.7)では超ハイペースを追走して抜け出すというパフォーマンスが印象的。前走は事故。懸念されるのは大和Sのような緩い流れでは先行力と失速耐性の優位性を活かせないこと。今回はスタートを決める&三浦騎手の覚悟があれば高速決着傾向の盛岡ダ1200では敵なしの状況だと考えます。ぜひ強気の競馬を。

 

リュウノユキナ

先行力と末脚のバランスの良さを武器に1200mでは安定。

 

テイエムサウスダン

パワー型の天才的1400巧者。米国色の強い血統や成績からも全体的なスピードが活かしやすい高速決着の方が高いパフォーマンスを示す。1200mではややトップスピード不足でオーバーペース(巡航速度不足)になる可能性が懸念されます。すばるSの挙動からも外枠は◎で包まれる不安もなくマイペースで気分良く走れそうなのは好感。立ち回りの幅が増えていることでどこまで立ち向かえるか。

 

ヘリオス

ここまでの最高パフォーマンスは「高速馬場をやや緩い逃げ」となった21年霜月Sや前走南部杯。周回コースの交流重賞では全体的スピードを活かせず敗戦も打点の高さが求められる高速決着で浮上することは南部杯での激走で示したとおり。南部杯で賞金加算がなければJBCスプリントへの出走は叶わなかったはずで前走仕上げ念入り。上積みがどれだけあるか&1200m指向のトップスピード不足に加え、高速決着の盛岡ダ1200&ダンシングプリンスの存在を考えるとさらに「やや緩い逃げ」を再現するのは難しそうでさらに条件好転とはいえません。

 

◎ダンシングプリンス

▲レッドルゼル

リュウノユキナ

テイエムサウスダン

 

 

JBCクラシック

・オーヴェルニュ

高速巡航と失速耐性に秀でる中距離馬≒起伏の激しさと道悪が重なる中京道悪では3戦3勝。盛岡ダ2000mは中京コースと似た起伏関係(≒ゴール板~3角まで緩い登坂→4角まで下り坂→直線に坂)なので適性はあると考えます。表面的には日本血統が並びなすが全体的には欧州色の強い血統です。これは芝指向の末脚に劣る可能性を示唆しますが、マーキュリーCの傾向からも盛岡ダ2000では欧州血統は強みになる可能性が高いです。前走はトップハンデ58kgを背負う&早い上がりを使った馬が上位に浮上する展開で3着に好走と良馬場での走りにも成長を感じさせます。揉まれないことも好走条件のひとつで外枠も◎。帝王賞では2年連続凡走も21年チャンピオンズCでは3着から0.3差6着と善戦。G1での好走能力がないわけではなく、ひとつ歯車が噛み合えばというだけのハナシ。今回は好走条件にあると判断します。

 

・テーオーケインズ

先行力と末脚を高いレベルで兼備。シニスターミニスターは母父の芝指向を引き出す傾向≒母父マンカフェで芝指向の末脚を想像可能。帝王賞や中央道悪馬場での走りから高速決着向。先行激化など事故への免疫は薄いが順当に評価。

 

・メイショウハリオ

半弟や叔父が芝長距離で活躍。父パイロでダート馬に出るがパイロ産駒らしくない距離適性と成長力。馬群を割れる根性や芝指向を感じる末脚は魅力的。帝王賞は漁夫の利的勝利も能力は確か。帝王賞はスワーヴアラミスが捲るシーンでメイショウハリオをなだめた濱中騎手のファインプレー。近走では末脚一辺倒ではなくある程度ポジションをとって競馬できるように成長。

 

・ペイシャエス

エスポワールシチーの代表産駒へ。追走力と失速耐性に良さが見られます。特に秀逸だったのは馬場差を考えれば伏竜Sを上回る時計をマークした5走前の走り。また青竜Sを展開不利で善戦→さらにハイペースとなったユニコーンS快勝と一戦毎に成長していることも魅力的な要素のひとつです。武蔵野S・みやこSの選択肢もありながらこちらを選択したのは斤量の関係か。3歳で古馬一線級相手は辛い状況に変わりないが今後の成長をぜひ見守っていきたい1頭。

 

・クラウンプライド

先行力と末脚のバランスに良さがありそう。リーチザクラウン×キングカメハメハ×アグネスタキオンと日本血統が並ぶがさらにそこからホワイトマズル×トニービンがボトムで支える。未知数が大きい3歳ですが、UAEダービー勝利の先輩ラニは3歳で迎えたみやこS13着、チャンピオンズC6着と凡走。それだけ3歳馬が古馬と詰めなければならない差があるのも事実。クラウンプライドがアドマイヤドンやオメガパフューム級なのかどうか。

 

◎テーオーケインズ

◯オーヴェルニュ

▲メイショウハリオ

【天皇賞秋2022】

■近年の天皇賞秋(良馬場)

21年 24.3-23.9-24.3-22.9-22.5 1:57.9

20年 24.4-24.2-23.9-23.6-22.6 1:58.7

19年 24.2-23.1-23.3-22.4-23.2 1:56.2

18年 24.4-23.3-23.3-22.2-23.6 1:56.8

16年 25.3-23.5-24.3-23.5-22.7 1:59.3

 

■ジャックドール

23.5-24.1-24.1-24.2-25.3 [3-4-3-2] 1着 札幌記念(札幌2000)

22.6-24.2-24.1-23.2-24.3 [1-1-1-1] 5着 大阪杯(阪神2000)

23.5-24.1-23.4-22.6-23.6 [1-1-1-1] 1着 金鯱賞(中京2000)

24.1-23.6-23.5-22.4-23.8 [1-1-1-1] 1着 白富士S(東京2000)

24.2-23.5-24.5-22.9-23.3 [1‐1‐1‐1] 1着 ウェルカムS(東京2000)

全体的なスピードを武器に「一貫ラップ+ややバテ」の展開で勝利を重ねてきました。モーリス+Unbridled's Song+Shadeed+Mr. Prospectorから米国系の追走力・欧州系の失速耐性を武器にすることが想像できるため血統面からも能力バランスを補足できます。

一方で緩急の大きな展開となった大阪杯でパフォーマンスを落とした点は見逃せません。これまでの走りからも「急加速力」が要求された場合はエネルギー消耗度が大きく、秀でる失速耐性でも補えていないほど失速しています。

東京芝2000mは大回り&長い直線&スパートポイントが上り坂などからキレの要求度が高いコース形状です。どう走ってもキレを要求される≒エネルギー消耗度が高くなることを考えると、番手からうまく運んでも主流血統やキレを武器とするタイプを相手に苦しい競馬となりそうです。先行しアドバンテージを利してバテバテでも粘り込むタイプでもなく、番手で脚を溜めても早い脚を使えるタイプでもなく、天皇賞秋での好走域はかなり狭いと判断できます。上位人気ならば疑ってかかるべきでしょう。

 

■カラテ

天皇賞秋はマイル指向の追走速度が活きるレースとなることがしばしば見受けられます。今回の出走メンバーで唯一のマイル重賞での勝ち鞍があることは、追走力優位による余力確保に大きく貢献するはずです。

24.5-23.8-24.7-23.3-22.6 1:58.9 新潟記念

いわゆるパワー型マイラーのカラテでしたが、前走は新潟2000mを上がり2位で勝利。パワー型マイラーは距離延長では中距離指向の末脚不足でパフォーマンスを低下させるのが一般的な傾向です。カラテはトップハンデを背負いながらこの走り≒マイル指向のスピードを末脚に転換させたことは評価すべき走りでした。加齢によりマイル戦線での活躍は難しく、好走距離が延長方向にシフトしていることも推せる要因のひとつです。

とはいえ中距離で一線級相手では分が悪いので内枠GETは好条件となります。パンサラッサのペースで少なくとも末脚不足の馬がさらに余力を失うとすれば、追走力優位のカラテが内々からしぶとい走りを魅せても驚けません。今回唯一の激走候補としたいです。

 

 

■展開想定

かなり突っ込んで逃げるパンサラッサが内枠。近走はややダッシュ力不足からハナを奪っていましたが内枠GETならばハナは確定的。思い返されるのはシルポートの存在。トーセンジョーダンのレコードを演出した1000m通過56.5秒、翌年も1000m通過57.3秒で逃げた玉砕覚悟の逃げ馬でした。パンサラッサも玉砕覚悟・バテ比べ上等の逃げ馬。

焦点は番手以降の集団がコレについていくかどうか。ついていけばトーセンジョーダンの勝った年、ついていかなければエイシンフラッシュの勝った年となります。ハイペースだからすなわちバテ比べだと決めつけるのは、エイシンフラッシュが33.1秒の末脚を繰り出して勝ったこととの整合性がつきません。

さて、パンサラッサを追いかける存在がどうか。バビットはこれまでテンで突っ込んだ経験がなくパンサラッサを追いかけるメリットがありません。横山典弘騎手がレースを壊すような騎乗もあまり想像できません。ジャックドールもマイペースで走ることが好走への至上命題でもあり巡航速度オーバーで追いかけるメリットがありません。ノースブリッジは距離短縮指向のスピード不足&岩田康成騎手の野性的レース感覚からオーバーペースを避ける競馬が推測されます。このことからもただでさえ玉砕覚悟が分かっているパンサラッサにメリットを求めて追いかける番手陣営がいるとは思えません。ここはエイシンフラッシュの2012年パターンを想定します。

 

■結論



 

 

 

 

【南部杯2022】

nearco-tesio.hatenablog.com

 

フェブラリー取扱説明書でも述べているのように、フェブラリーS南部杯の関連性は深い。ワンターンマイルというコース形態や高速決着がその要因となっています。ただし、ワンターンマイルといっても東京1600と盛岡1600ではレイアウトが真逆。盛岡1600はスタートから3コーナーまで約900mを走ります。つまり序盤の走りがレースの大半を占めており、先行力の要求度が高いレースといえます。それを裏付けるように、上がり最速馬がほぼ馬券になるフェブラリーSとは違い、南部杯は末脚の早さが即直結するようなレースではないことを示しています。

 

次にもうひとつの共通点である高速決着に焦点をあてます。

近年の南部杯は特に高速化が顕著で、一昨年は日本レコードを叩き出したほどです。この時期の盛岡は秋が深まり、週中に降雨があればなかなか馬場の乾燥が進まない&オーロパークの地理的に朝露の影響を受けやすいといった「高速決着への後押し」となる条件が重なりやすくなっています。

一方で、かしわ記念の勝ち時計をみると南部杯より4~5秒ほど遅いものになっています。これはコーナーを4回周る≒減速機会が多いことが関わっていることは言うまでもありません。冒頭でも述べているように南部杯フェブラリーSは関連性が深いですが、かしわ記念はそれほど高いと言えないのが現状です。もちろん強い馬は強いので関連性云々を能力で突破してきますが。近年のフェブラリーS勝ち馬でいえば距離短縮指向の能力に秀でるモーニンが初の周回コースで凡走、末脚のトップスピードに秀でるノンコノユメが凡走、高速決着適性に秀でるカフェファラオが凡走と、いずれもフェブラリーSでのパフォーマンスをかしわ記念では微塵も出せずに終わっています。

これらから南部杯は先行力が要求される高速決着≒距離短縮指向のスピードが活きやすいレースという解釈ができます。そのあたりはタガノトネールノボバカラ、ヒロシゲゴールドが人気馬を退けて2着している点からも明らかではないでしょうか。

 

今回注目したいのが、ヘリオス

近走の敗因は端的に言えば決着タイムの遅さ。中央でのダ1400戦は1分22秒3~1分23秒7で走破しており、その平均は1分22秒9。このうち自己ベストと思われるパフォーマンスを示したのが2021年グリーンチャンネルC。やや緩いながれを逃げ切った走り≒末脚優勢となりやすい東京ダ1400で全体的なスピードを活かした走りでした。

黒船賞が1分30秒5、さきたま杯が1分25秒9という決着。高速決着寄りの全体的なスピードを活かしてこそ能力を発揮するヘリオスにとって、ここ3戦の地方交流重賞は時計の遅さから能力を発揮する場面がなかったとも言えるのではないでしょうか。ダート牡馬としては軽量な馬体やオルフェーヴル×フレンチデピュティ×フジキセキという血統構成からもパワー指向の能力が要求されたローカルダートは苦しかったはずです。

南部杯は高速決着になりやすく距離短縮指向のスピードが活きやすいレース。周回コースだった近走から得意のワンターンコースへ舞台条件も好転。1400mで全体的なスピードを活かす競馬が身上のヘリオスにとっては近走の汚名を挽回する最大のチャンスとなりそうです。

 

■結論

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本命は、カフェファラオ

 

ワンターンマイルの高速決着適性は実績のとおり抜群で非の打ちどころがありません。ここは単勝1倍台でもおかしくない状況ですが、南部杯連覇中のアルクトスという存在とローカル適性への不安がオッズをやや甘めに仕上げると踏んでいます。最近の南部杯は高速化が進んでおり、当日降雨の影響から時計の出やすい馬場が想定されます。かしわ記念では周回コースの低速決着がゆえに敗戦しましたが、南部杯の傾向と想定される馬場からはローカルダートであろうと問題ないと考えます。強烈な適性を魅せる反面、適性外ではコロッと負けるというのはよくあることです。今回は強烈な適性を魅せつけられる状況です。

 

同様にアルクトスもワンターンマイルへの高速決着適性は抜群です。関連性が深いはずのフェブラリーSで結果がでないのは末脚不足が敗因。東京ダ1600と盛岡ダ1600のコースレイアウトが真逆というのはこれまでに触れてきたとおりで、先行力とやや距離短縮指向のスピードが武器のアルクトスが南部杯だけで活躍する理由はここにあります。衰えをやや心配する年齢ではありますが、これだけの実績馬が加齢で成績急落した例はあまり記憶にないことから無問題にBETしたいと思います。

 

残る1席に推すのはヘリオス武豊。3番人気であろうソリストサンダーはやや末脚に寄ったタイプで、昨年ヒロシゲゴールドを交わせなかったシーンが印象に残ります。今年のフェブラリーS4着は負けて強しの内容ではありましたが、距離短縮指向のスピード不足や高速決着で末脚を伸ばした経験が乏しいこと(≒逆にかしわ記念2年連続連対)から南部杯でパフォーマンスを発揮しづらい状況にあると考えます。

 

カフェファラオ

アルクトス

ヘリオス

ソリストサンダー

【日本ダービー2022】

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皐月賞上位の優勢は揺るがない。

 

別路線組の筆頭レースとなるのが青葉賞京都新聞杯。前者からはプラダリア・ロードレゼルが出走。レースレベルが平凡かつ中3週で再輸送という状況に加え、2頭とも追走力や失速耐性が優位なぶん末脚のキレでは劣るような能力バランスです。

後者からはアスクワイルドモアが出走。超高速馬場でも立派なレコードタイムでしたが、漁夫の利的なレース。自身は札幌2歳Sでも同様のレース展開を繰り広げており、失速耐性が問われる非根幹距離向きのタイプ≒根幹距離でキレ負けしやすい能力バランスです。

このようなことから日本ダービーで購買欲をそそられる存在は、別路線組に存在しないと判断しました。

 

次に日本ダービー激走馬について。激走条件については昨年の「日本ダービー激走考察編」を参考にしていただくとして、粘走激走候補はビーアストニッシド・ピースオブエイト・アスクビクターモア、一閃激走候補はジャスティンロック・マテンロウレオとなります。

 

・ビーアストニッシド

アメリカンペイトリオット産駒らしく淡々と流れたスプリングS[36.7-36.4-35.3]がそうだったように、緩急の少ないかつトップスピードの問われないレースが好走域。高速決着への対応力やキレの成長力が鈍い血統構成から皐月賞からの上積みを見込むのは困難。先行率86%・上がり平均35.0秒・スプリングS勝利・馬番8番と激走条件には合致していますが、上がり最速での勝利がないことや自身の能力バランスを考えると、過去の粘走激走馬らと違いキレ不足から苦戦すると考えます。

 

・ピースオブエイト

毎日杯は序盤早く仕掛け待つ展開&前有利馬場。素質馬ドゥラドーレスがやっとこさ差し込むのが精一杯のレースだったことからもトラックバイアスの程度が知れると思います。父スクリーンヒーロー×母父Oasis Dream×母母父Sadler's Wellsという血統からも推測できるようにタフ指向の競馬が得意なはずです。ただし近年の日本ダービーはRobertoやSadler's Wellsが減点材料となる傾向にあります。粘走激走条件は揃っていますがRoberto系の父スクリーンヒーロー産駒で母系は英国指向の強い血統では強気になれません。

 

・アスクビクターモア

母系の欧州色の強さが中山向きのディープインパクト産駒に仕立て上げる。今春開催の東京芝オープンクラスでは「キングカメハメハ」がかなり効いているように、欧州色の強さが仇となりそう。戦績通り東京向きのキレもなく先行策なら粘り込むにも早々に飲みこまれてしまうのでは。

 

ジャスティンロック

皐月賞上がり3位。牝系尊重型種牡馬リオンディーズ。母父アッミラーレはサンデー産駒ながら全勝ち星をダートで挙げた馬。祖母はホクトベガの半妹。牝系の持続力が引き出されたレースぶりで、京都2歳Sを捲りながら押し切った内容はまさにそれ。皐月賞は内を通ったとはいえ牝系の能力が引き出されているのならば、荒れた馬場はお手のものだったはず。キレの要求度がグンと増す東京替わりでは皐月賞で魅せた末脚を発揮できないと判断します。

 

マテンロウレオ

皐月賞上がり2位。溜めに溜めた皐月賞。米国色の強い牝系にハーツクライを迎えた血統構成からも察する通り、ワンペース気味の末脚を使います。急加速力不足の影響から末脚勝負に出ても位置取りの不利を大きく被りそうです。

 

このように例年なら狙ってみたくなる激走馬もいましたが、どうにも目をつぶる要素が多いように感じるため購買欲が湧きません。よって別路線組、激走候補ともに好走可能性が薄いと判断します。

 

 

■結論

 

本命は、ジオグリフ

 

皐月賞時の分析通り、牝系が持つ小回り巧者の血を受け継ぐジオグリフが立ち回りの巧さと持続力の優位性を活かすレースが得意です。そうであるならば、小回り適性やキレ要求度上昇となる東京替わりは減点材料とも言えますが、そうではない理由を騎手心理に求めます。「皐月賞を受けて上位馬はどのように日本ダービーを乗るか」をレース後から考えてきました。抜け出して差されたルメール騎手や、前々で窮屈に運んで伸び悩んだ川田騎手は溜めて末脚を最大限に引き出す&勝利に拘る騎乗をしてくるでしょう。武豊騎手も同様にスタミナ温存を念頭に溜めて末脚勝負でしょう。

 

そこで活きてくるのがジオグリフの持続力。末脚のキレ勝負ではイクイノックスやダノンベルーガにはさすがに敵いませんが、だからこそのポジションを福永騎手はとってくるはずです。これは前後のアドバンテージとなり、キレ不足を補完する材料となります。そのジオグリフも東京新馬戦で33秒台の末脚を披露したり、共同通信杯では57kgでダノンベルーガとほぼ同等にやりあっているように一定水準のキレは装備しています。今春の東京芝オープンクラスでは「父キングカメハメハ・母父キングカメハメハ」が数多く好走している血統傾向もあります。皐月賞を4角3番手から勝ち切った母父キングカメハメハのジオグリフを2022年日本ダービー本命とします。

 

 

日本ダービー激走馬

21年  9人気 3着 [13-12] ステラヴェローチェ

20年 10人気 3着 [07-07] ヴェルトライゼンデ

19年 12人気 1着 [02-02] ロジャーバローズ

18年 16人気 3着 [02-02] コズミックフォース

14年 12人気 3着 [07-06] マイネルフロスト

13年  8人気 3着 [02-01] アポロソニック

12年  7人気 3着 [02-02] トーセンホマレボシ

11年 10人気 2着 [15-15] ウインバリアシオン

11年  8人気 3着 [05-05] ベルシャザール

10年  7人気 1着 [09-11] エイシンフラッシュ

09年  8人気 3着 [05-05] アントニオバローズ

08年 12人気 2着 [03-03] スマイルジャック

08年  6人気 3着 [12-13] ブラックシェル

07年 14人気 2着 [01-01] アサクサキングス

06年  7人気 3着 [13-12] ドリームパスポート

05年  7人気 3着 [14-10] シックスセンス

03年  7人気 3着 [04-02] ザッツザプレンティ

02年  6人気 3着 [06-04] マチカネアカツキ

01年 11人気 3着 [05-03] ダンシングカラー

 

上記は人気薄(6番人気以下)で日本ダービーを好走した馬([]内は3角→4角の通過順位)。21世紀の日本ダービーで人気薄激走馬は19頭存在。うち13頭が4角7番手以内≒逃げ・先行策からの激走を叶えていました。まずは日本ダービーを粘走で激走した馬にフォーカスしていきます。

 

20年3着 35.2秒  80% ヴェルトライゼンデ(10人気)

19年1着 35.6秒 100% ロジャーバローズ(12人気)

18年3着 34.4秒  40% コズミックフォース(16人気)

14年3着 34.6秒  71% マイネルフロスト(12人気)

13年3着 34.9秒  67% アポロソニック(8人気)

12年3着 34.9秒  67% トーセンホマレボシ(7人気)

11年3着 34.9秒 100% ベルシャザール(8人気)

09年3着 35.5秒 100% アントニオバローズ(8人気)

08年2着 35.0秒  88% スマイルジャック(12人気)

07年2着 35.2秒  83% アサクサキングス(14人気)

03年3着 35.4秒  80% ザッツザプレンティ(7人気)

02年3着 35.9秒 100% マチカネアカツキ(6人気)

01年3着 35.3秒  86% ダンシングカラー(11人気)

 

上記は人気薄粘走激走馬13頭の日本ダービー戦前の上がり3F平均値と先行率を記したものです。上がり3F平均値は重&不良馬場・ダート戦を除いて算出した数値。先行率は4角5番手以内だったレース割合の数値。

例えばスローペースで先行好走した経験が多い場合、先行率は高いものの上がり3F平均は34秒前後となり、日本ダービーで粘走するには質感が軽すぎて根拠が薄いと判断できます。上がり3F平均値と先行率を並べることで、GⅠの舞台で粘り込める持続力とそれを最大限に活かせるポジショニングが可能かどうかを見極めようと思うわけです。

粘走激走馬で異質なのはコズミックフォース。先行率が低く、上がり3F平均も34.4秒と13頭中最速≒軽い質感。さすがは16番人気といった具合に感じられこれをサンプルとして扱うと歪みが生まれそうです。そのコズミックフォースを除いた粘走激走馬の平均値がこちら。

 

上がり3F平均値:35.2秒 先行率:85%

 

今年の出走メンバーの数値は以下の通り。

 

100% 34.9秒 セイウンハーデス

100% 34.5秒 アスクビクターモア(弥生賞)

100% 34.7秒 ピースオブエイト(毎日杯)

 60% 34.8秒 オニャンコポン(京成杯)

86% 35.0秒 ビーアストニッシド(スプリングS)

 75% 34.8秒 ジャスティンパレス

 80% 34.4秒 ジャスティンロック

100% 33.8秒 ダノンベルーガ(共同通信杯)

 60% 34.3秒 ドウデュース(朝日杯FS)

100% 35.8秒 デシエルト

 80% 34.4秒 ジオグリフ(皐月賞)

100% 35.2秒 ロードレゼル

 60% 34.0秒 イクイノックス(東スポ杯)

【かしわ記念2022】

前年度覇者カジノフォンテンの最大瞬間風速は凄いものでしたが、今やその勢いはなくここで盛り返してくるであろう要素も見当たらず魅力に欠けます。

 

 

フェブラリーS当日のダート戦は平均時計から軒並み1.5秒ほど早い決着となっておりウルトラ高速馬場でのレースとなっていました。ラップ推移としては中弛みでレース全体としてはまだ余力があるなかでのゴール≒もっと時計と詰めて走れた可能性があります。

ここで恩恵を受けたのは、テイエムサウスダン、ソダシの2頭です。2頭とも共通する性能は「全体的なスピードが武器」ということで、前者は距離短縮指向のスピードを、後者は芝指向のスピードを活かしやすいウルトラ高速馬場だったことが好走要因の大部分を占めます。

一方で後方待機の時点で「終了」だったのがエアスピネル、インティ、サンライズノヴァ。高速決着×上がり勝負となった時点で物理的に届かない位置取りが厳しい着順に直結したことは言うまでもありません。ポジションが大事なかしわ記念を考えると、インティやサンライズノヴァはマイルで行けなくなってきていますし、エアスピネルも加齢の影響から前ほど行けなくなっているので外枠から先行でポジションを取るのは厳しいと考えます。

馬券圏内に僅か届かなかったのがソリストサンダー。海外帰りはあまり積極的に買えないケースが多いので、一旦「状態」に関しては度外視して能力・適性に絞って愚論を進めます。「末脚の総合力に優れる1700巧者」がこの馬の特徴です。距離短縮指向のスピード不足によって高速決着への対応が叶わなかったこと、末脚力>先行力という能力バランスから展開を味方につけきれなかったこと、この2点がフェブラリーSでの敗因です。武蔵野S勝ちがありますが、ワンターンマイルよりは周回マイルの方がG1レベルでは合いそうです。時計が遅くなることや道中溜めが作りやすい≒1700巧者としての能力を活かしやすいことがその要因だと考えます。状態に問題がなければ末脚はしっかり伸ばしてこれそうです。

仮にカフェファラオがかしわ記念に出走していれば本命に推せないように、フェブラリーSのパフォーマンスをかしわ記念でも発揮できるとは考えないでしょう。かしわ記念に出走するフェブラリーS組も同様に、着順に惑わされることなく適性を見極めて狙っていきたいと思います。

 

■結論

本命は、◎ショウナンナデシコ

 

マイル初挑戦となったのは東京ダ1600の青竜S

早い上がりを使った馬が上位に浮上するなか4角3番手から抜け出す場面を作って0.2秒差4着。勝ち馬デュードヴァンは次走ユニコーンSでカフェファラオに完敗しますが、例年の勝ち馬と遜色のないパフォーマンスを示すだけの馬でした。負けはしましたが悲観する内容ではありませんでした。再度のマイル戦となる西湖特別では大幅馬体減の影響もあってか惨敗。その後、輸送を嫌ってか関東への参戦はしばらくありませんでした。阪神や中京ではマイル戦はなく、短距離適性もないと考えた陣営は中距離戦を主戦場として鍛えていき遂にオープン勝ち。満を持しての関東遠征で、TCK女王盃2着・エンプレス杯1着・マリーンC1着と輸送も克服してみせています。

マリーンCは船橋1600mでかしわ記念と同じ舞台です。ショウナンナデシコの前走タイムは1:41.3。例年のかしわ記念で勝ち負けするならば2~3秒ほど詰めてこなければなりません。しかしそこは少々事情が違い、22年3月開催から砂厚が10→12cmへ増しており、時計も掛かっているため、22年マリーンCの時計をこれまでのものと単純比較することはご法度だと考えます。

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ノーザンテースト産駒は3度変わる」というのは古くからの競馬ファンなら耳にしたことがある格言です。現代ではステイゴールド系の成長力を疑うことがないように、当時のノーザンテースト産駒はそれだけ古馬での成長力に長けているということです。ショウナンナデシコはステゴ系筆頭種牡馬オルフェーヴル産駒で、ノーザンテーストの5×4×4も持ちます。血統的には「成長力の塊」「のびしろだらけ」ということが感じ取れます。実際に新馬戦で素晴らしい走りをするも、ジワジワと戦績を上げてくる雰囲気はステゴ系のそれで、5歳春を迎えいよいよ本格化、そして完熟の秋を迎えるであろう未来を予測できます。

 

・マイル指向のスピード性能は青竜Sで確認済み

・中距離馬という先入観は関西圏を主戦場としたから

・関東輸送も克服済み

・失速耐性勝負や揉まれる競馬など厳しいレースも経験済み

・マリーンCの時計は砂厚変更のため比較対象にならず

オルフェーヴルノーザンテーストクロス=成長力の塊

 

かしわ記念がこの条件となってから牝馬の勝ち星はありませんが、ショウナンナデシコが歴史を作るシーンを想像します。